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コニカミノルタの新規事業開発を担う、異業種から来た「ヨソモノ」

前回のインタビュー記事でも取り上げたように、働き方改革の流れの中で副業・兼業が一般化し、多くの企業が副業人材の受け入れを積極的に行うようになってきました。この流れは、一部のスタートアップだけのものではなく、歴史ある大手企業においても進んでいます。

今回は、A3カラー複合機やカラーデジタル印刷機の分野では世界約40カ国でトップクラスのシェアを誇るコニカミノルタ株式会社にて、新規事業開発部門のリーダーを務める宮木さんにインタビューを行いました。

ご自身でスタートアップを経営されながら、コニカミノルタの正社員として新規事業開発を牽引する宮木さんのお話を伺いながら、大手企業における副業人材の受け入れに対する現在地や、宮木さんご自身の働くうえでの軸について紐解いていきます。

コニカミノルタが手掛ける、印刷業界のDXソリューション

宮木さんが所属するプロフェッショナルプリント事業本部は、印刷業を行う会社や、自社で印刷物が非常に多いメーカー、教育機関、医療機関などに向けたプロ仕様の印刷機を製造・販売する部門です。

コニカミノルタが得意とするデジタル印刷の市場は、アナログ印刷の市場が縮小するのに反比例して拡大傾向にあるものの、コニカミノルタの顧客である全国の印刷会社では仕事が減少しているところも多く、そのため印刷機を導入するよりも印刷の仕事が欲しい、という状況に陥っていました。

こうした顧客課題の解決のためにはじまったのが、「Accurio DX」というプロジェクトであり、そのグループリーダーを務めるのが宮木さんです。

宮木さん:

当社のデジタル印刷の技術を活用すれば、チラシ1枚ずつ異なるQRコードを印刷することでパーソナライズされたチラシやDMを送るといった施策が可能になります。また、その効果もWebサイトの導線のようにトラッキング可能ですので、これまで効果検証が難しかった紙媒体の領域でも、1to1のマーケティング施策ができる点が非常に大きな価値です。

この様な印刷活用を簡単に事項できるソリューションを構築し、当社が主体となって事業会社のマーケティング部門へ提案することで、結果として元々の顧客である印刷会社に仕事を提供していく。「AccurioDX」は、事業会社と印刷会社をつなぎ新たな価値を創出する共創プラットフォームという位置づけです。

すでに、300社を超える企業がこの取り組みに共感し、共創参画企業として手を挙げてくれています。

印刷業界は、まったくの門外漢

印刷業界特有の課題とコニカミノルタの持つ技術的優位性を結びつけ、新たな価値創出へ取り組む宮木さん。入社したのは2021年とわずか3年前、かつ業界も企業規模もまったく異なる分野からの挑戦だったそうです。

宮木さん:

コニカミノルタに来る以前は、教育系のITベンチャーでの事業責任者をやっていました。それ以前のキャリアとしても特に印刷業にかかわったことはなく、組織規模としてもコニカミノルタのような大企業ははじめてでしたね。

転職活動を行う中でエージェント経由の紹介でコニカミノルタに出会ったのですが、もともと「コニカ」と「ミノルタ」という2つの老舗企業が合併してできたのがこの会社。事業領域も創業当初とは大きな変遷をしてきています。

歴史ある大企業でありながらも、変革のDNAが浸透している。また合併というプロセスを通して業務オペレーションも洗練されている。そんな印象を持ちました。働き方などの制度面でも、副業が認められており、全部の職種が対象ではないものの私のような企画系・事務系の職種は時間も場所も自由という点も魅力に感じ、入社を決めました。

ルールは守れ、しかし慣習は疑え

そうした経緯によりコニカミノルタに入社した宮木さん。大企業への就職がはじめて、なおかつ業界も未経験という環境の中で、入社前後のギャップはなかったのでしょうか。

宮木さん:

上司やチームメンバーに恵まれたこともあり、実は入社前に想像していたような大変さはありませんでした。もちろん業務分掌や権限規程など様々な規程がありますし、そうしたルールは当然守る必要があります。

ただ、ルールは守る一方で、なんとなく慣習になってしまっているようなものについては、安易に従うのではなく、自分自身の考えをもとに判断するようにしています。多くの人が、ルールではなく慣習のほうを意識しすぎるあまり萎縮してしまい、それが入社前後のギャップになってしまうのではないでしょうか。

当社が他の大企業に比べて寛容なのかもしれませんが、実際にこれまでトラブルも起きていません。

「面白さドリブン」のチームマネジメント

実は、宮木さんの所属するビジネス開発グループには、宮木さんと同じように副業をしているメンバーが多数います。全員が時間・場所ともに自由な働き方を選択しており、出社タイミングも勤務時間もバラバラという状況です。

こうした環境下でグループリーダーとしてどのようにマネジメントに向き合っているのでしょうか。

宮木さん:

チームで行う定例会議は週に2回だけにしています。そこで情報共有や振り返り、メンバーからの相談などを会話し、それ以外は特に行動におけるルールはありません。全員がプロとしての意識を持ち、オンラインかつ非同期コミュニケーションのやりとりが多くてもパフォーマンスを発揮できるように尽力しています。

日々の業務はリモートで進める一方で、ビジョンや戦略のすり合わせやメンバー個々の内発的なモチベーションの確認などは、リアルで会って対話することを大事にしています。リモートだけで完結するのではなく、こうしたリアルの場を適宜作っていくようにしていますね。

あとはやっぱり「面白くする」っていうのをリーダーとしては一番意識しているかもしれません。ミーティング中はもちろん、リモートでテキストコミュニケーションが中心になるとどうしても冷たい印象を与えてしまうこともあります。細かいことですができるだけ絵文字やスタンプを使うようにしたり、お互いに積極的に反応し合うことを通じて、チームの雰囲気を良くすることには気を付けています。

イノベーションの実践者でありたい、そしてそれを伝えたい

まったくの異業種から転職しても気負うことなく、軽快なフットワークで新規事業を推進する宮木さん。その「根っこ」となるのはどのような想いなのでしょうか。

宮木さん:

昔から「史上初」とか「前人未踏」みたいな言葉がすごく好きなんです。大小かかわらず誰もやったことがないことにチャレンジし、イノベーションを起こしたいという想いが強くあります。

イノベーションを起こすために必要になるのが、「新規事業開発」「人材開発」「組織開発」の3つが結びついた「三位一体開発」。これが私のリーダーシップやマネジメントにおけるコアの部分です。

自分自身でイノベーションの実践者でありたい一方で、それだけでもダメ。自分が実践したことをプロジェクトの現場にアジャストした形で伝えていく。それを通して人材開発と組織開発を実現する。これが私のキャリアの軸と呼べるものです。

先の「AccurioDX」の新プロダクトのローンチも控え、サービスやビジネスモデルの磨き上げに取り組む宮木さん。コニカミノルタの社員としての活動はもちろんのこと、個人としての活動もますます幅を広げられています。

取材対象者プロフィール

宮木 俊明
コニカミノルタ株式会社 プロフェッショナルプリント事業本部 プロダクションプリント事業部 マーケティング部 ビジネス開発グループ グループリーダー / グロースワークス合同会社 CEO / 一般社団法人ビジネスモデルイノベーション協会 代表理事

「社会に新たな価値を創造する挑戦者を増やすために、挑戦者を支援するとともに、自らのイノベーションへの挑戦を発信し続ける」をミッションに、セールス、マーケティング、事業開発、スタートアップの代表取締役などを歴任し、現在、パラレルワーカーとして人材開発や組織開発のメソッドを活用したイノベーションに従事。

著書に『仕事はかどり図鑑 今日からはじめる小さなDX』『ひらめきとアイデアがあふれ出す ビジネスフレームワーク実践ブック』がある。

公式サイト:http://miyakitoshiaki.com/
AccurioDX:https://accuriodx.konicaminolta.com/

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