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特別買収目的会社「SPAC」の特徴についてわかりやすく解説

特別買収目的会社(SPAC)は、近年注目を集めている企業上場の手法の一つです。SPACは通常のIPO(新規株式公開)とは異なり、特定のビジネスを運営していない「白地の会社」が資金を調達し、後に買収を通じて事業を持つ企業を上場させるという仕組みを取ります。本記事では、SPACの基本的な特徴やメリット・デメリット、そして今後の展望について詳しく解説します。

SPACとは何か?その基本概念と仕組み

特別買収目的会社(SPAC:Special Purpose Acquisition Company)は、企業の買収を目的に設立される投資ビークルです。SPAC自体は事業活動を行わず、まず株式を公開して投資家から資金を集めます。その後、集めた資金をもとに他の企業を買収し、その買収先企業を上場させる仕組みです。

SPACの設立者(スポンサー)は通常、投資家や経営者、あるいは業界の専門家などで構成され、買収対象企業の選定や交渉を主導します。一般的に、SPACは上場から2年以内に買収を完了させる義務があり、この期限内に適切な買収先を見つけられない場合、投資家に資金を返還することになります。

参考:SPAC(特別買収目的会社)とは?上場の仕組みや事例を解説(日本M&Aセンター)

SPACの主要な特徴と通常のIPOとの違い

SPACの最大の特徴は、上場をする際のプロセスが通常のIPOとは異なる点にあります。通常のIPOでは、企業が証券取引所に直接株式を公開するのに対し、SPACの場合は、既に上場している「箱」としてのSPACが企業を買収することで、その企業が市場に上場する形となります。

この違いは、いくつかのメリットを企業にもたらします。

スピードとコストの違い

SPACを通じての上場は、通常のIPOに比べてプロセスが簡略化され、上場までのスピードが速いと言われています。特に市場の変動が大きい状況では、タイミングを逃さず上場するための手段としてSPACが選ばれることが多くなっています。

確実性の違い

IPOの場合、市場の需要や株式の評価に依存するため、必ずしも成功するとは限りません。一方で、SPACでは事前に資金が確保されているため、上場の確実性が高まります。

また、SPACでは事前に投資家から資金が集まっており、買収後の資金不足リスクが低いことも特徴の一つです。このような理由から、特に成長段階にある企業や、新しい技術を持つ企業にとって、SPACを利用した上場は魅力的な選択肢となっています。

SPACを利用するメリットと企業側の利点

SPACを通じて上場する企業にとって、いくつかの明確なメリットがあります。

メリット1:迅速な資金調達

SPACは上場時点で既に投資家から資金を調達しているため、企業にとっては資金調達のプロセスが速く進みます。また、通常のIPOに比べて市場の不確実性が少ないため、企業側としても上場後の資金が計画通りに手に入る可能性が高まります。

メリット2:プロセスの簡略化

通常のIPOプロセスは長期にわたる準備期間や、膨大な手続きが必要です。一方で、SPACを通じた上場は、買収プロセスに焦点を当てるため、時間とコストが抑えられます。

メリット3:スポンサーのサポート

SPACのスポンサーは、投資家や業界の専門家で構成されていることが多く、上場後の企業運営や戦略的な方向性に関するアドバイスを受けることができます。これは特に未上場企業にとって大きなサポートとなります。

さらに、SPACでは交渉により株式の評価や取引条件を柔軟に決定できるため、企業価値の評価がしやすくなる点も大きな利点です。

SPACに潜むリスクとデメリット

一方で、SPACにはリスクやデメリットも存在します。最大の懸念は、スポンサーや投資家との利益相反です。SPACのスポンサーは、買収が完了することで多額の報酬を得るため、企業価値や取引の詳細よりも、買収を完了させることを優先する可能性があります。

買収先のリスク

SPACは上場後に買収先企業を探すため、事業が明確でない段階で投資が行われます。つまり、投資家にとっては不透明な部分が多く、最終的に買収される企業が期待通りの成長を遂げるかどうかが不確実です。

パフォーマンスの不確実性

SPACで上場した企業は、通常のIPO企業と比べて、上場後の株価パフォーマンスが不安定になる傾向があります。これは、SPACの買収プロセスが早いため、投資家の期待が過度に高まり、その後の実績が市場の期待に応えられない場合があるからです。

また、SPACによる上場は投資家にとってリスクを伴う投資であるため、特に新興企業やリスクの高い業界でのSPAC利用には慎重な検討が求められます。

SPACの今後の展望と注目すべきトレンド

SPACはここ数年で急成長を遂げ、特にアメリカ市場ではIPOの新たな選択肢として大きな注目を集めています。テクノロジー企業やヘルスケア分野を中心に、多くの企業がSPACを利用して上場していますが、その成長は一時的なものではなく、今後も継続する可能性が高いと見られています。

しかし、規制の強化も進んでいます。SPACの急増に伴い、透明性や投資家保護の観点から、証券取引委員会(SEC)などの規制当局が監視を強化しています。このため、今後はSPACによる上場プロセスがさらに厳しくなる可能性があります。

また、世界的な市場の変動や経済状況によっても、SPACの利用動向は変化するでしょう。投資家のリスク耐性や資金の流れが影響を与えるため、企業はその動向を注視する必要があります。

まとめ

特別買収目的会社(SPAC)は、企業が迅速かつ効率的に上場するための有力な手段として急速に普及しています。通常のIPOとは異なり、資金調達のスピードや上場プロセスの確実性など、企業側にとって大きなメリットがある一方で、リスクや規制の強化も伴います。今後の市場の動向や規制の変化を見極めながら、SPACを活用した上場の可能性を探ることが、企業の成功にとって重要です。

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