銀行借入ドットコム、会社経営者に事業運営の意識調査を実施

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税理士による資金繰り・銀行融資のサポートサービス「銀行借入ドットコム」を営むさいたま新都心税理士法人 名護・松波事務所は、これまでのノウハウを1冊にまとめた『その節税が会社を殺す – お金に強い社長がコッソリやっている節税&資金繰りの裏ルール31 -』の書籍発売にあわせて、企業経営・事業運営に関する意識調査を会社経営の経験があるユーザーを対象に実施した。

『その節税が会社を殺す』

必死になって行っている節税策のほとんどは無意味。

むしろ逆効果で、一生懸命節税すればするほど社長の知らないうちに”じわりじわり”と会社を弱らせ、はては突然死の原因になることもある。

本書は、多くの企業が陥りがちな節税の「罠」について解説し、企業財務に影響し得る「点」をどのようにつなげ、そして対策すべきかを記した中小企業における財務の基本書となっている。

企業経営・事業運営に関する意識調査の概要

  • 回答者数:442人
  • 実施期間:2018年5月10日~2018年5月11日
  • 回答者男女別 男性:84.2% 女性:15.8%
  • 回答者年齢の比率 18~19歳:0.7% 20~29歳:11.5% 30~39歳:16.3% 40~49歳:8.6% 50~59歳:17.4% 60歳以上:45.5%
  • ※会社経営の経験があるユーザーに限定
  • ※本調査データは銀行借入ドットコムのウェブサイト上からダウンロード可能

手元資金に関する錯覚

「月々の売上が上昇傾向にあると手元資金(売掛債権ではなく現預金)はどのようになるイメージがありますか?」という質問に対する回答は以下の通り。

  • 増える:55.7%
  • 変わらない:23.5%
  • 減る:17.6%
  • わからない:3.2%

売掛金による取引が主流の日本では、売上と現金の入金までにはタイムラグが生じる。そのため、売上があがるほど手元資金(現金及び預金)は「減る」ことになる。

本設問では、会社経営経験者の55.7%が「増える」と回答。正解である「減る」を選択したのは17.6%にとどまる結果となった。

節税に対する認識

「節税に際して生命保険の存在はどのように考えていますか?」という設問に対する回答は以下の通り。

  • 必要である(欠かせない):67.9%
  • わからない:21.7%
  • 不要である:13.6%

本設問の回答者の67.9%が「必要である(欠かせない)」と回答したことは、多くの経営者が生命保険を節税の選択肢としていることが読み取れる。

しかしながら、生命保険は「利益の繰り延べ」であり、満期時または解約時の返戻金には税金がかかる。

また、掛け金に対する戻り率である「返戻率」を考慮すると生命保険による利益圧縮はせずに、決算期に法人税を支払ったほうが、手元に残る現金及び預金は多くなることはあまり理解されていない。

なお、本設問で「必要である(欠かせない)」を選択した回答者のうち、別の設問である「節税のための生命保険を解約した際の返戻金に税金はかかると思いますか?」の回答は下記の通りとなり

  • かかると思う:66.3%
  • かからないと思う:26.0%
  • わからない:7.7%

生命保険による利益圧縮が、のちの返戻時に課税対象となる「利益の繰り延べ」であることを把握していない経営者は「33.7%」(「かからないと思う」「わからない」回答者の合算)存在する結果となっている。

一方で、生命保険が「利益の繰り延べ」であることを把握している経営者は「66.3%」いたものの、生命保険は節税には「必要である(欠かせない)」と回答していることから、多くの経営者は、法人税を払った場合と生命保険による利益の繰り延べ分を課税されたあとに手元に残る現金及び預金のシミュレーションができていないことが推測される。

経営者は「節税の棚卸し」と時流に沿った「見直し」を

「節税に際して生命保険の存在はどのように考えていますか?」の設問で「必要である(欠かせない)」と回答した回答者のうち、「法人企業で利益がでることが予想できる場合、法人税を払うよりは役員報酬を引き上げて利益を圧縮したほうが節税につながると考えていますか?」の設問で「強くそう思う」と回答したユーザーは約半数近く(47.3%)にのぼった。

  • 強くそう思う:47.3%
  • どちらとも言えない:46.0%
  • 全く思わない:6.3%
  • わからない:1.8%

役員報酬の増額は利益圧縮ひいては法人税額の支払額減少につながるが、一方で役員報酬の受取により所得税・社会保険料は増額につながる。

企業に手元資金を残すことを考えると、実は役員報酬を引き上げるよりも法人税として支払ったほうが多くの現預金が残り、事業資金として活かすことができる。

本設問とその回答からは、「節税」という言葉だけが先行してしまい、実際の数値の確認やシミュレーションをせずに、飛びついてしまっている経営者が少なからず存在することが読み取れる。

かつては、役員報酬の増額が企業に手元資金を残す「節税」につながる時期もあり、制度改正や税率の変更により、現在ではうまみがない。

「借金=悪い」「無借金=良い」という意識が強い

「銀行にとって融資をしやすい会社はどんな会社だと思いますか?」という設問に対する回答は以下の通り。

  • 手元資金が多い/他行からの借入あり:22.6%
  • 手元資金が多い/他行からの借入なし(無借金):51.4%
  • 手元資金が少ない/他行からの借入あり:8.1%
  • 手元資金が少ない/他行からの借入なし(無借金):10.9%
  • あてはまるものは無い/わからない:7.0%

銀行は、他行からの借入を「実績」とみなし、また返済の滞りなどの事故無くきちんと返済をしている企業のほうに融資をしやすい傾向にある。

本設問では、回答者の51.4%が「手元資金が多い/他行からの借入なし(無借金)」を選択し、一方で、正解である「手元資金が多い/他行からの借入あり」を選択したユーザーは全体の22.6%にとどまる結果となった。

本結果を鑑みるに、銀行から受ける評価要素とは別に「借金=悪い」「無借金=良い」という意識が依然として強くあるのではないかと考えられる。

経営者の年齢によって「節税や資金繰りの知識」に大きな差がある

感想等一部の質問を除き、設問に対して正解を選択したユーザーを年代別にまとめた結果、正しい選択肢を選択した年代は、7つの設問中6つで60歳以上となった。

このことは、年齢により経営者の事業運営における節税や資金繰りの知識に偏り(差)があること示すものである。

一方で当該数値は「年齢があがらないと節税や資金繰りの正しい知識が得られない」と読み取ることもできる。

年齢の上昇を経営・事業運営の経験値の増加とするならば、経営者の節税や資金繰りに関するノウハウは経験値に頼らざるを得ないということでもあり、また現時点で良い専門家に巡り会えていない、アドバイスをもらえていない可能性が考えられる。

節税手法は、事業環境・事業規模などの内部環境のほか、制度改正等の外部環境により「いまや有効ではない」ものがたくさん存在する。

企業財務の健全化のために、また事業活動の飛躍のためにも、現在まで実施している「節税」の棚卸しと時流に沿った「見直し」は経営者には欠かせないものとなることは間違いない。

また、健全な企業財務にするための節税や資金繰りに重要なのは「経験値」ではなく、ノウハウと実行力をもった「専門家」と出会うことが最短ルートであると言えそうだ。