DX(デジタルトランスフォーメーション)

デジタルガバナンス・コード2.0(旧DX推進ガイドライン)とは何か

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経済産業省が策定したデジタルガバナンス・コード2.0(旧DX推進ガイドライン)は、日本企業がデジタル化を進めるための重要な指針です。このガイドラインは、企業が競争力を高め、持続可能な成長を実現するために不可欠です。本記事では、このガイドラインの概要、目的、主要な内容、企業への影響、そして実践例について詳しく解説します。デジタル化を推進するために、企業がどのように対応すべきかを理解し、具体的なアクションプランを立てるためのヒントを提供します。

経済産業省:デジタルガバナンス・コード2.0

デジタルガバナンス・コード2.0の概要

デジタルガバナンス・コード2.0は、Society 5.0を目指す中で、企業がデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進し、競争力を強化するための包括的なガイドラインです。2020年11月に策定され、2022年9月に改訂されました。このガイドラインは、以下の3つの柱を中心に構成されています。

  1. 経営戦略としてのデジタル化
  2. デジタルリーダーシップの確立
  3. デジタルリスクの管理

これらの柱は、企業がデジタル化を進める際に直面する課題を包括的にカバーし、成功へと導くための具体的な指針を提供します。

デジタルガバナンス・コード2.0の目的

デジタルガバナンス・コード2.0の目的は、企業がデジタル化を通じて持続可能な成長を実現することです。具体的には、以下の4つの目的があります。

  1. ITシステムとビジネスの一体化:ITシステムとビジネスを一体的に捉え、新たな価値創造に向けた戦略を描くこと。
  2. デジタルの力の活用:既存ビジネスの効率化だけでなく、新たな収益につながるデジタルビジネスの創出。
  3. 技術的負債の防止:ITシステムの技術的負債を防ぎ、計画的なパフォーマンス向上を図ること。
  4. 組織横断的な取り組み:必要な変革を行うために、組織横断的に取り組むこと。

これらを達成するためには、経営者の関与が不可欠であり、企業全体の組織構造や文化の改革、中長期的な投資が求められます。

デジタルガバナンス・コード2.0の全体構造

デジタルガバナンス・コード2.0は、企業がデジタル技術を活用して持続可能な成長を実現するための具体的な指針を提供します。その全体構造は以下の4つの主要な領域で構成されています。

  1. ビジョン・ビジネスモデル
  2. 戦略
  3. 成果と重要な成果指標
  4. ガバナンスシステム

各領域について詳しく説明します。

1.ビジョン・ビジネスモデル

企業はビジネスとITシステムを一体的に捉え、デジタル技術による社会及び競争環境の変化が自社にもたらす影響(リスク・機会)を踏まえた経営ビジョンを策定し、その実現に向けたビジネスモデルを設計します。企業は、このビジョンとビジネスモデルを価値創造ストーリーとしてステークホルダーに示すことが求められます。

2.戦略

企業は、デジタル技術を活用する戦略を策定し、ステークホルダーに示します。この戦略には、組織づくり・人材・企業文化に関する方策や、ITシステム・デジタル技術活用環境の整備に関する方策が含まれます。戦略の実施に必要な体制を構築し、組織設計・運営の在り方を示すことが重要です。

3.成果と重要な成果指標

企業は、デジタル技術を活用する戦略の達成度を測る指標を定め、ステークホルダーに対して指標に基づく成果についての自己評価を示します。これには、企業価値創造に関係するKPI(重要業績評価指標)や、戦略実施により生じた効果を評価する指標が含まれます。

4.ガバナンスシステム

企業の経営者は、デジタル技術を活用する戦略の実施に当たり、ステークホルダーへの情報発信を含め、リーダーシップを発揮します。取締役会は、経営ビジョンやデジタル技術を活用する戦略の方向性を示し、その実現に向けた取り組みを適切に監督します。また、サイバーセキュリティ対策を含むリスク管理体制を整備し、経営リスクとして認識します。

企業への影響

デジタルガバナンス・コード2.0の導入は、企業に多大な影響を与えます。まず、経営戦略の見直しが必要となります。デジタル技術を活用した新しいビジネスモデルを構築し、競争力を強化することが求められます。また、デジタルリーダーシップの確立により、組織全体が一丸となってデジタル化に取り組む姿勢を育てます。

さらに、デジタルリスクの管理は企業の信頼性を高める要素となります。サイバー攻撃やデータ漏洩などのリスクを適切に管理することで、顧客や取引先からの信頼を得ることができます。

最新事例から学ぶ、デジタルガバナンス・コードの実践例

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経済産業省が2024年4月2日に発表した中堅・中小企業等向け「デジタルガバナンス・コード」実践の手引き2.1には、全国各地のDXに取り組む企業の事例が掲載されています。以下にその概要をまとめました。

取組例A:有限会社ゑびや・株式会社EBILAB(三重県伊勢市)

概要

ゑびやは三重県伊勢市に拠点を置く企業で、ITを駆使した食堂経営を行っています。経営危機を乗り越え、データ活用とDXを積極的に取り入れることで業績を向上させました。新たな取り組みとして、店舗経営のDXを学べるボードゲーム「wyEBIYA THE BOARD GAME」を開発し、若い世代への教育と起業家精神の醸成に貢献しています。

具体的な取り組み

  • DX経営の実践: 経営危機の食堂を立て直す際、データ活用とDXを導入。
  • 教育の推進: 店舗経営のDXノウハウを学べるボードゲームを開発。
  • 成果: ゲームを通じた店舗経営のシミュレーションやリスクマネジメントの学習が可能に。

取組例B:マツモトプレシジョン株式会社(福島県喜多方市)

概要

マツモトプレシジョンは精密機械部品の加工を行う企業で、福島県喜多方市に本社を置いています。DXの取り組みとして、社長自らが変革をリードし、地域と産業全体の生産性向上に貢献することを目指しています。

具体的な取り組み

  • 変革のリーダーシップ: 社長が内外に向けて変革メッセージを発信。
  • データ連携のハブ: サプライチェーン中核としてデータ連携を推進し、地域社会や従業員、顧客の利益確保を実現。
  • 外部人材の活用: DXの推進に必要なデジタル人材の確保と育成に時間をかける。

取組例C:株式会社ヒサノ(熊本県熊本市)

概要

ヒサノは熊本市に本社を置く企業で、輸配送網の構築を目指しています。DX認定を目指し、戦略の進捗をKPIとして管理し、具体的な成果を目指しています。

具体的な取り組み

  • KPIの設定: 2026年までに九州全域の輸配送網を構築し、売上目標を設定。
  • 重点取組事項: 人・組織、営業、ITおよびDX、セキュリティ・BCPにおけるKPIを明確に設定し、進捗管理を行う。

さらに、この他にも10社の事例が掲載されています。

事例1:株式会社フジワラテクノアート(岡山県岡山市)

株式会社フジワラテクノアートは、DXセレクション2023グランプリを受賞した企業です。ロボットやセシング技術を駆使して、新しい製造の形を創造し、業務効率の向上と生産性の改善を実現しました。

事例2:土屋合成株式会社(群馬県富岡市)

DXセレクション2023準グランプリを受賞。土屋合成株式会社は、波乱万丈の変革を経て、人を育て、新たな価値を創造する体制を整備しました。

事例3:グランド印刷株式会社(福岡県北九州市)

DXセレクション2023準グランプリ受賞。グランド印刷株式会社は、業界を取り巻く課題解決に向けて、デジタル技術を活用し、持続可能な印刷業の実現を目指しています。

事例4:浜松倉庫株式会社(静岡県浜松市)

DXセレクション2024グランプリを受賞。浜松倉庫株式会社は、倉庫業の効率化とともに、地域社会との連携を強化し、物流業界のDXを推進しています。

事例5:株式会社リノメタル(埼玉県八潮市)

DXセレクション2024準グランプリ受賞。株式会社リノメタルは、金属加工業におけるDXを推進し、労働環境の改善と生産性の向上を実現しました。

事例6:株式会社トーシンパートナーズホールディングス(東京都武蔵野市)

DXセレクション2024準グランプリ受賞。トーシンパートナーズは、不動産業界におけるDXを推進し、顧客対応の効率化とサービス向上を目指しています。

事例7:株式会社西原商事ホールディングス(福岡県北九州市)

DXセレクション2024準グランプリ受賞。株式会社西原商事は、廃棄物処理業界においてDXを導入し、リサイクル率の向上とコスト削減を達成しました。

事例8:山口産業株式会社(佐賀県多久市)

DXセレクション2024準グランプリ受賞。山口産業株式会社は、木材加工業界においてDXを推進し、生産効率の向上と品質管理の強化を実現しました。

事例9:株式会社NISSYO(東京都羽村市)

株式会社NISSYOは、伴走支援を受けながら、IT技術を活用して経営課題を解決し、顧客満足度の向上と業務効率の改善を目指しました。

事例10:株式会社みらい蔵(大分県豊後大野市)

株式会社みらい蔵は、伴走支援を受けながら、農業分野におけるDXを推進し、生産性の向上と労働力の最適化を実現しました。

これらの事例は、それぞれの企業が直面する課題に対して、デジタル技術を活用し、効率化や生産性向上を目指す具体的な取り組みを示しています。各事例は、他の企業にとっても参考になるものであり、DX推進の重要性と具体的な手法を学ぶことができます。

まとめ

本記事では、デジタルガバナンス・コード2.0(旧DX推進ガイドライン)について、その概要、目的、主要な内容、企業への影響、そして実践例を詳しく解説しました。デジタルガバナンス・コード2.0は、企業がデジタル化を進めるための包括的な指針であり、経営戦略、リーダーシップ、リスク管理の3つの柱を中心に構成されています。これらを適切に実践することで、企業は持続可能な成長を実現し、競争力を強化することができます。

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