M&A(企業の合併・買収)を進める際には、いくつかの重要な書類が関与します。その中でも「LOI(意向表明書)」と「MOU(基本合意契約書)」は、取引の初期段階で重要な役割を果たす書類です。本記事では、これらの書類の基本的な概念や役割、そして両者の違いについて詳しく解説します。これにより、M&Aプロセスをスムーズに進めるための知識を身につけることができます。
LOI(意向表明書)とは?
LOI(Letter of Intent、意向表明書)は、M&A取引の初期段階において、買収側の意図や希望条件を表明するための書類です。LOIは非拘束的な文書であり、正式な契約ではありません。主に以下の内容が含まれます。
- 取引の概要:取引の基本的な構造やスケジュール。
- 価格の提案:買収価格や支払い条件。
- デューデリジェンスの計画:対象企業の詳細な調査の計画。
- 独占交渉期間:他の買収提案を拒否する期間。
LOIは、交渉の方向性を確認し、次のステップに進むための土台を提供します。
MOU(基本合意契約書)とは?
MOU(Memorandum of Understanding、基本合意契約書)は、M&A交渉が進展し、双方が基本的な取引条件に合意した段階で作成される文書です。MOUは、LOIよりも詳細かつ拘束力のある内容が含まれます。以下の項目が一般的に含まれます。
- 取引の詳細:具体的な取引条件やスケジュール。
- 法的拘束力の有無:特定の条項についての法的拘束力。
- デューデリジェンスの完了:調査結果に基づく最終決定。
- 守秘義務:取引に関する情報の秘密保持。
MOUは、取引を進める上での明確な枠組みを提供し、最終契約に向けた準備を整えます。
LOIとMOUの主な違い
LOIとMOUの主な違いは、その拘束力と詳細度にあります。LOIは非拘束的であり、交渉の初期段階で使われる一方、MOUは一部の拘束力を持ち、取引の詳細が具体化された段階で使用されます。具体的な違いは以下の通りです。
- 拘束力:LOIは一般的に非拘束的、MOUは特定の条項において拘束力を持つことがある。
- 詳細度:LOIは基本的な意図や条件を表明、MOUは詳細な取引条件を明示。
- 使用タイミング:LOIは交渉の初期段階、MOUは交渉が進展した段階で使用。
LOIとMOUの役割と効果
LOIとMOUは、M&Aプロセスの異なる段階でそれぞれ重要な役割を果たします。LOIは交渉の方向性を定め、MOUは具体的な合意内容を確定します。これにより、双方が合意に向けた具体的なステップを踏むことができ、取引の透明性と信頼性を高めることができます。
具体的な事例から見るLOIとMOUの使い分け
具体的な事例を通じて、LOIとMOUの使い分けを理解しましょう。例えば、ある企業が別の企業を買収する場合、まずLOIを提出して基本的な意向や条件を示します。この段階でお互いの期待値を確認し、合意できればデューデリジェンスを実施します。その後、詳細な調査結果に基づき、取引条件をさらに詰めたMOUを作成します。このプロセスを経ることで、取引のリスクを最小限に抑えつつ、双方の合意を固めることができます。
まとめ
この記事では、M&Aプロセスにおける「LOI(意向表明書)」と「MOU(基本合意契約書)」の違いについて詳しく解説しました。LOIは非拘束的な意図表明文書であり、交渉の初期段階で使用されます。一方、MOUは詳細な取引条件を含む基本合意書であり、一定の拘束力を持つことがあります。両者の役割を理解し、適切に使い分けることで、M&Aプロセスをスムーズに進めることが可能です。
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