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中小企業のDXはいまだ初期段階、「中小企業のDX推進に関する調査(2023年10月)」を読み解く

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中小企業のDX推進は企業の競争力向上や業務効率化に欠かせない要素となっています。しかしながら、現状では多くの企業がDXの重要性を認識しているにもかかわらず、実際の取り組みは限定的です。本記事では、中小企業基盤整備機構が行った「中小企業のDX推進に関する調査(2023年10月)」をもとに、DX推進の現状や課題、期待される効果について詳しく解説します。中小企業のDX推進における具体的なステップや支援策についても触れ、今後の取り組みに役立つ情報を提供します。

出典:中小企業の DX 推進に関する調査(2023 年)アンケート調査報告書(中小企業基盤整備機構)

調査概要

本調査は、全国の中小企業経営者および経営幹部(個人事業主を除く)1,000社を対象に実施されました。調査は2023年7月28日から8月1日の期間にWebアンケート形式で行われ、株式会社ネオマーケティングと一般社団法人中小企業産学官連携センターが協力機関として参加しています。調査の目的は、中小企業のDXへの理解や取組みの進捗状況、課題、および支援策を把握し、各支援機関や中小企業者が今後の対応方針を検討するための基礎データを提供することです。

DXへの理解、必要性の認識、そして期待される成果

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DXの理解度は上昇も、従業員規模が小さい企業ほど理解度が低い

中小企業におけるDXの理解度は年々向上しています。本調査によると、「DXを理解している」または「ある程度理解している」と回答した企業は49.1%であり、2022年の37.0%から12.1ポイント増加しています。これにより、多くの中小企業がDXの概念について認識を深めていることがわかります。しかし、従業員規模が小さい企業ほどDXの理解度が低い傾向があり、特に20人以下の企業では35.5%と、依然として低い水準にとどまっています。

DXの必要性を認識している企業は7割超

DXを必要とする企業は71.9%にのぼりますが、これは2022年の76.2%から4.3ポイント減少しています。この減少の背景には、DXの取り組みに対する具体的な成果や効果が見えにくいと感じる企業が増えている可能性があります。それでもなお、多くの企業がDXの重要性を認識しており、今後のビジネス環境においてDXが不可欠であると考えています。

DXに期待される成果は「業務効率化」と「コスト削減」

DXに期待する効果の上位には「業務の効率化」(64.0%)と「コスト削減」(50.5%)が挙げられます。これらは、DXを導入することで即座に目に見える成果を得やすい分野であり、多くの企業がその効果を期待しています。また、「データに基づく意思決定」の期待度も31.0%と、前回調査から12.5ポイント増加しており、データ活用の重要性がますます認識されるようになっています。

企業文化の変革と顧客接点強化、新製品・サービスの創出への期待が増加

DXによって企業文化や組織のマインドセットの変革を期待する企業も多く見られます。これにより、新しいビジネスモデルの構築や新製品・サービスの創出が促進され、企業の競争力が向上することが期待されています。また、顧客接点強化への期待も前回調査から増加が顕著な部分です。

DXへの取り組みとその具体的内容

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DXへの取り組み実施済・検討中の企業は3割にとどまる、従業員規模20名以下の企業ではその割合は2割を下回る現状

2023年の調査では、DXに「既に取り組んでいる」または「取り組みを検討している」企業は31.2%となり、2022年の24.8%から6.4ポイント増加しています。具体的な取り組み内容としては、「文書の電子化・ペーパレス化」(64.4%)や「営業活動・会議のオンライン化」(47.1%)などが主な施策として挙げられています。

一方で同じ調査を従業員規模20名以下の企業に絞ってみてみるとその数字は16.7%となっており、必要性への理解と同様、規模の小さい企業ほど取り組み状況についてもネガティブな結果となりました。

DXの進捗は、まだ作業やデータのデジタル化の段階

DXの進捗状況については、「アナログで行っていた作業やデータのデジタル化を進めている」と回答した企業が29.1%で最も高く、次いで「個別の業務や製造等のプロセスのデジタル化」(13.4%)が続きます。一方、DXの高度な取り組みである「デジタル技術を活用した全体的な業務やビジネスモデル、企業文化の変革」を進めている企業は9.6%にとどまっており、多くの企業が基本的なデジタル化の段階にあることが伺えます。

具体的な取り組み内容は、「ペーパレス化」「ホームページ作成」「商談・会議のオンライン化」とまだ初期段階といえる

DXをすでに実施済あるいは検討中と回答した企業に具体的な取り組み内容を聞いた結果としては、「文書の電子化・ペーパレス化」が64.4%、「ホームページの作成」が47.1%、そして「営業活動・会議のオンライン化」が同じく47.1%となっています。まだ多くの企業においてDXの取り組みは初期段階にあり、DXによるビジネスモデル変革や企業文化改革には至っていないことがうかがえます。

DXの具体的な取り組み内容(n=312、複数回答)

順位内容回答割合
1位文書の電子化・ペーパレス化64.4%
2位ホームページの作成47.1%
同2位営業活動・会議のオンライン化47.1%
4位セキュリティ対策強化35.9%
同4位クラウドサービスの活用35.9%
6位電子決済導入31.1%
同6位テレワークの実施31.1%
8位基幹システムの構築・導入30.4%
9位顧客データの一元管理28.5%
10位電子商取引の実施19.6%
11位データの戦略的活用19.2%
同11位RPAの導入19.2%
13位IoT活用17.9%
14位デジタル人材の採用・育成14.4%
15位AIの活用13.5%
16位その他0.6%
表:本調査結果をもとにBizDevキャリア編集部作成

DX推進の課題と期待される支援策

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DX推進の課題は「人材不足」が顕著に出る結果に

DX推進における課題としては、「ITに関わる人材の不足」(28.1%)や「DX推進に関わる人材の不足」(27.2%)が上位に挙げられています。これらの課題は、企業の規模が小さいほど深刻であり、特に従業員規模が20人以下の企業では、「何から始めてよいかわからない」(27.7%)や「具体的な効果や成果が見えない」(19.8%)という課題が目立っています。

この人材不足の課題は、以前の記事で紹介した「DX動向2024(IPA)」でも同様であり、日本企業のDX推進における最重要課題といっても過言ではないでしょう。

参考:IPA「DX動向2024」を読み解き、各社のDXの取組状況を知ろう(BizDevキャリア)

期待される支援策は「補助金・助成金」がもっとも高い

DX推進に向けた支援策としては、「補助金・助成金」(49.3%)のニーズが最も高く、次いで「中小企業のためのDX推進指針の策定・公表」(22.6%)や「公的支援機関や専門家による経営相談」(14.3%)が挙げられています。これらの支援策を活用することで、DX推進のハードルを下げ、多くの企業が取り組みやすくなることが期待されます。

まとめ

本記事では、中小企業基盤整備機構が行った「中小企業のDX推進に関する調査(2023年10月)」をもとに、DX推進の現状や課題、期待される効果について解説しました。DXの理解度や必要性は高まっているものの、取り組みの進捗はまだ道半ばであり、多くの課題が存在しています。今後、効果的な支援策を活用しながら、企業全体でDXを推進していくことが求められます。DXを通じて企業の競争力を強化し、持続的な成長を実現するための取り組みを進めていきましょう。

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