令和6年版情報通信白書が総務省から発表されました。この白書では、生成AIの進化とその利活用の現状について詳述されています。日本企業がどのように生成AIを取り入れているのか、他国と比較してどのような位置にあるのかを探ることで、今後の生成AIの発展と課題を明確にすることができます。本記事では、白書の内容に基づき、日本企業の生成AIの現状と課題について解説します。
参考:令和6年版情報通信白書(総務省)
日本における生成AIの利用は9.1%と欧米に比べ低調
生成AIの利活用において、日本は欧米に比べて遅れを取っていると指摘されています。白書によると、日本の生成AIの利用率は9.1%となっており、米国の46.3%、ドイツの34.6%に比べてかなり低い数字です。一方で、今後の利用に前向きな回答が約70%に達しているという結果が示されています。これは、潜在的な需要が高いことを示しており、今後の市場拡大が期待されます。
上記状況ながらも、生成AIの利活用は、日本国内でも徐々に進展しています。総務省の白書によれば、教育や就労支援、介護などの分野で生成AIを活用したサービスが増えてきています。例えば、小中学生向けの教育支援ツール「チャレンジAIコーチ」や、福岡県のバーチャル就労支援「ふくおかバーチャルさぽーとROOM」などが具体的な事例です。これらのサービスは、生成AIの能力を活用し、個別のニーズに対応したコンテンツ提供やサポートを行っています。
生成AIの市場規模は向こう10年で33倍に拡大
生成AI市場は今後急速に拡大する見通しです。白書によると、生成AIの市場規模は2022年から10年後の2032年にかけて約33倍に成長する予測が立てられています。これは、生成AIの技術進化とそれに伴う利用シーンの拡大によるものです。特に、ビジネスプロセスの自動化や顧客対応の効率化など、生成AIの強みを活かした活用が進むことで、市場が大きく拡大する見込みです。
生成AIの利活用における課題
生成AIの利活用においては、いくつかの課題も指摘されています。まず、機密情報の流出リスクや偽・誤情報の拡散といった問題があります。これに対し、AIセーフティ・インスティテュート(AISI)が設立され、AIの安全性評価手法の検討や偽・誤情報対策の技術開発が進められています。さらに、大規模言語モデル(LLM)の開発競争においても、GAFAMなどのビッグテック企業がリードしているため、公平な市場環境の確保が求められています。
今後の展望
日本企業が生成AIをより広範囲に活用するためには、技術面だけでなく法制度や倫理面での整備も重要です。G7広島サミットを機に立ち上がった「広島AIプロセス」により、国際的なルール作りが進んでいる中で、日本もその一端を担っています。また、国産LLMの開発や日本語中心の学習用データの整備など、産官学が連携して取り組むべき課題も多く存在します。
まとめ
令和6年版情報通信白書を通じて、日本企業の生成AI利活用の現状を探りました。日本は欧米に比べて遅れを取っているものの、今後の利用に対する期待は高く、市場拡大が見込まれています。生成AIの安全性確保や偽・誤情報対策といった課題に対する取り組みが進められており、産官学が連携して技術開発と市場整備を進めることが求められています。今後、日本企業が生成AIをどのように活用し、国際競争力を高めていくかが注目されます。
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