事業を評価する際、適正な価値を見極めることは非常に重要です。その基準となるのが「フェアバリュー(適正価格)」という考え方です。しかし、フェアバリューの概念や算出方法について具体的に理解している人は多くありません。本記事では、初心者でも分かりやすく、フェアバリューの基本的な考え方と主な算出方法を解説します。
「フェアバリュー」とは?その基本的な定義
フェアバリューとは、買い手と売り手が十分な情報を持ち、自由な取引環境の下で合意する事業の価格を指します。言い換えれば、過大でも過小でもない、公正な価値を表すものです。
例えば、不動産や株式市場における「時価」や「公正価値」に近い概念であり、特にM&Aや投資判断の際に重要な基準として用いられます。事業のフェアバリューを知ることは、適正な価格交渉を行うための土台となります。
フェアバリューの必要性:事業評価における役割
フェアバリューを算出することの目的は、事業や資産の適正な価値を理解し、買収価格や投資判断の基準を明確にすることです。
たとえば、以下のようなシチュエーションでフェアバリューが必要になります。
- M&A取引:事業売却や買収の適正価格を算出するため。
- 資金調達:企業価値に基づく投資家への交渉をスムーズにするため。
- 内部評価:自社の事業の現在価値を知り、経営戦略に役立てるため。
適正価格を見極めずに価格交渉を進めると、高値掴みや利益損失のリスクが高まります。そのため、フェアバリューの理解は成功するビジネスの基盤といえるでしょう。
フェアバリューの算出に用いる主な方法
フェアバリューを計算する方法には、いくつかのアプローチがあります。ここでは代表的な3つを紹介します。
方法1:DCF法(ディスカウントキャッシュフロー法)
将来のキャッシュフロー(現金収支)を予測し、現在価値に割り引いて計算する方法です。以下が基本的な手順です。
- 将来のキャッシュフローを予測。
- 割引率を設定(リスクや金利を考慮)。
- 現在価値として合計する。
DCF法は非常に合理的で信頼性が高い方法ですが、将来の収益予測に依存するため、正確なデータが必要です。
方法2:マルチプル法(類似企業比較法)
同業他社の市場価値を基準に、自社事業の価値を推定する方法です。例えば、以下の指標を利用します。
- EBITDA倍率(税引前利益+利息+減価償却)
- 売上高倍率
市場に似た事業を探し、その事業価値を基準に算出できるため、簡便で実務的な手法です。
方法3:帳簿価格法(純資産法)
事業の純資産価値を基に算出します。「総資産 - 総負債 = 純資産」として計算し、この金額をフェアバリューとする方法です。短期間での評価に適しており、特に安定した事業や資産の多い企業に向いています。
算出時に注意すべきポイント
フェアバリューを算出する際、以下の点に注意することが重要です。
ポイント1:正確なデータの収集
キャッシュフローや財務データに誤りがあると、算出結果が大きく変わる可能性があります。特にDCF法では未来の予測が求められるため、慎重にデータを収集しましょう。
ポイント2:割引率や基準値の設定
割引率や比較対象の基準を間違えると、適正価格を正確に見積もれなくなります。市場環境やリスクプレミアムをしっかり反映することが重要です。
ポイント3:外部要因の考慮
競合や市場の変動、規制の変更といった外部要因がフェアバリューに影響を与えることもあります。これらを加味することで、より現実的な価格が得られます。
まとめ
フェアバリューは、公正な事業評価を行うための重要な指標です。DCF法やマルチプル法などを活用することで、より信頼性の高い価格を算出できます。また、算出時には正確なデータの収集と市場環境の考慮が必要です。フェアバリューを理解することで、適正価格での取引や投資判断が可能になります。
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