
「JTBD(Jobs-to-Be-Done)」は、顧客が製品やサービスを選ぶ本当の理由を明らかにし、価値を提供するためのフレームワークです。従来の市場セグメント分析やペルソナ分析とは異なり、「顧客が何を達成したいのか?」に焦点を当てる点が特徴です。
例えば、ある人が「ドリル」を購入するのは、その商品が欲しいからではなく、「壁に穴を開ける」というジョブ(仕事)を達成したいからです。このように、顧客の「やりたいこと」を理解することで、より本質的な価値提供が可能になります。
本記事では、JTBDの基本概念や従来のマーケティング手法との違い、具体的な活用事例、導入プロセスについて詳しく解説します。
JTBDとは?従来のマーケティング手法との違い

JTBDの基本概念:顧客は何を「雇用」しているのか?
JTBDの考え方では、顧客は単に製品を購入しているのではなく、「あるジョブ(仕事)を達成するために、それを雇用している」と捉えます。
JTBDの主要要素
ジョブ(Job)
顧客が達成したい目的や解決したい課題
例:「健康的な食事を手軽に取りたい」
プロダクトの雇用(Hiring)
目的を達成するために顧客が選ぶ製品やサービス
例:「サラダのデリバリーサービスを利用する」
競合(Competing Solutions)
顧客がジョブを達成するために選ぶ可能性のある他の選択肢
例:「自炊する」「コンビニでサラダを買う」
例えば、ドリルを買う人の目的は「ドリルを所有すること」ではなく、「壁に穴を開けること」です。このように、顧客の本質的なジョブを見極めることが重要です。
従来のマーケティング手法との違い
ペルソナ分析 | セグメンテーション | JTBD | |
---|---|---|---|
フォーカス | 顧客の属性や行動 | 市場の特性 | 顧客の目的や達成したいジョブ |
データの種類 | 年齢・性別・職業・趣味 | 業界・規模・購買履歴 | 目的・課題・使用シナリオ |
活用方法 | 広告ターゲティング | マーケット選定 | プロダクト開発・顧客理解 |
例 | 30代の男性ビジネスマン向け | 若者向けの低価格帯ブランド | 「移動時間を短縮したい」人向け |
従来の手法では「どのような人が購入するのか?」に注目しますが、JTBDでは「顧客がなぜその製品を選ぶのか?」を考える点が大きな違いです。
JTBDの導入プロセス

プロセス1:顧客インタビューを実施する
顧客が製品を購入・利用する際の「動機」や「期待」を把握します。
プロセス2:顧客のジョブを特定する
以下のように、顧客のジョブを特定します。
- 機能的ジョブ:「移動時間を短縮したい」
- 感情的ジョブ:「時間を効率的に使って満足感を得たい」
- 社会的ジョブ:「周囲からスマートに見られたい」
プロセス3:既存の競争相手を分析する
顧客はどのような代替手段を使ってジョブを達成しようとしているのかを洗い出します。
プロセス4:プロダクトやマーケティング戦略に反映する
得られた洞察をもとに、価値提供の方法を最適化します。
まとめ:JTBDを活用して、顧客の本当のニーズを掴もう
JTBDは、「顧客の視点から本当に解決したいことは何か?」を考えるフレームワークです。市場分析や属性データだけでは見えない「ジョブ」を理解することで、より効果的なプロダクト開発やマーケティングが可能になります。
特に、BizDevにおいては新規事業のアイデア発掘や市場開拓に直結する考え方です。顧客が本当に求めている価値を深く掘り下げ、競争優位性を築いていきましょう。
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