
デザインスプリントは、短期間でアイデアを形にし、ユーザーのフィードバックを得るための強力なフレームワークです。Google社のベンチャーキャピタル部門として設立された、当時のGoogle Ventures社が開発したこの手法は、スタートアップから大企業まで幅広く活用されています。
しかし、「デザインスプリントを実施したものの、うまくいかなかった…」というケースも少なくありません。原因として、適切な準備ができていなかったり、プロセスの進め方が曖昧だったりすることが挙げられます。
そこで本記事では、デザインスプリントの基本プロセスを整理しながら、成功率を高めるための実践ポイントを解説します。
デザインスプリントの基本プロセス
デザインスプリントは、5日間でプロダクトやアイデアを検証する手法です。各日ごとに明確な目標が設定されており、それに従って進めることで、短期間で効果的な成果を得ることができます。
DAY 1:理解(Understand)— 課題の明確化
目的:プロジェクトのゴールや課題を整理し、解決すべき問題を明確にする。
進め方
- チーム全員でプロジェクトの背景を共有する(市場調査、競合分析、ユーザーインサイトなど)
- ユーザーのペインポイント(課題)を洗い出す
- 「どの問題を解決すべきか?」を決定し、スプリントのゴールを定める
– 成功のポイント
- チーム全員がゴールを共有し、議論の方向性を統一する
- 必要に応じて、ユーザーインタビューやデータ分析を活用する
DAY 2:アイデア出し(Sketch)— 解決策の発散
目的:課題に対する解決策をブレインストーミングし、アイデアをスケッチする。
進め方
- 各メンバーが個別にアイデアを考え、スケッチする(4ステップスケッチ法などを活用)
- その後、アイデアを共有し、グループ内で意見交換を行う
- 最も有望なアイデアを数点に絞る
– 成功のポイント
- アイデアを「量」→「質」の順で出し、発散と収束のバランスをとる
- チーム内の意見を偏らせないために、個別でアイデアを出してから共有する
DAY 3:意思決定(Decide)— ベストアイデアを選ぶ
目的:スケッチしたアイデアの中から、実際に試作するものを決定する。
進め方
- アイデアを評価し、投票形式で最も有望なものを選定する
- 「ユーザーストーリーマッピング」などを活用し、アイデアの流れを整理する
- プロトタイプ制作に向けたストーリーボード(画面遷移図)を作成する
– 成功のポイント
- チームの意見をうまく統合し、決定のプロセスを明確にする(全員の合意を取るのではなく、最適なものを選ぶ)
- 決定後に「やっぱり別の案がよかった」とならないよう、意思決定の基準を明確にしておく
DAY 4:プロトタイプ作成(Prototype)— 短期間で形にする
目的:選ばれたアイデアをプロトタイプとして形にし、ユーザーテストが可能な状態にする。
進め方
- 必要最小限の機能・デザインでプロトタイプを作成(紙、デザインツール、ノーコードツールなどを活用)
- ユーザーテストに向けたシナリオを作成
– 成功のポイント
- 「完璧なプロトタイプ」を目指さない。最小限の手間で、ユーザーに価値が伝わるものを作る
- デザインツール(Figma、Adobe XD)、プロトタイピングツール(InVision、Marvel)を活用し、スピーディに作成する
DAY 5:テスト(Test)— ユーザー検証とフィードバック
目的:プロトタイプをユーザーに試してもらい、フィードバックを得る。
進め方
- ユーザー5〜7人を対象にテストを実施(オンラインorオフライン)
- インタビューや行動観察を通じて、プロダクトの課題を洗い出す
- ユーザーの反応を分析し、次のアクションを決定する
– 成功のポイント
- ユーザーインタビューでは、「なぜそう思ったのか?」 を深掘りする質問をする
- 「ポジティブな意見だけを集めない」ように注意し、ネガティブなフィードバックにも注目する
デザインスプリントを成功させる3つの実践ポイント

1. 適切なメンバーを揃える
- ファシリテーター(進行役)
- デザイナー(プロトタイプ作成)
- PM/ビジネス担当(事業目線の判断)
- エンジニア(技術的視点)
- マーケター(市場データの提供)
2. 事前準備を徹底する
- 必要なデータ(市場調査、ユーザーインサイト)を事前に用意しておく
- プロトタイピングに使用するツールを決めておく(Figma, Miro, Mural など)
3. 意思決定をスピーディに行う
- 投票やファシリテーターの裁量を活用し、決断をスムーズに進める
- 「最適な案」より「実行可能な案」を優先する
まとめ
- 5日間のプロセスを理解し、適切に実施する
- メンバーの役割を明確にし、スムーズな意思決定を行う
- 完璧なプロトタイプを目指さず、最小限で価値を検証する
デザインスプリントの成功率を高め、短期間で効果的なプロダクト開発の下地を作りましょう。
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