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NASA式の「構造化」思考が、不確実性の高い世界を生き抜くために欠かせない

VUCAの時代と呼ばれるようになって久しい現在。

VUCAとは、「Volatility(変動性)」「Uncertainty(不確実性)」「Complexity(複雑性)」「Ambiguity(曖昧性)」の頭文字を取った言葉で、複雑で不確実性が高く、予測不可能な世界を指します。 いま、多くのビジネスシーンにおいて、このような状況下でどう生き抜いていくかが盛んに議論されています。

その最たる例が、宇宙開発の分野です。

宇宙開発は、正解のない課題を解きほぐしながら前進する、きわめて複雑な挑戦です。そこで鍵になるのが「構造化(モデリング/システム思考)」というアプローチです。プロフェッショナル同士がモデルを使って上流・超上流の構想を創り上げるための、有効な方法論として使われています。

そして、この「構造化(モデリング/システム思考)」思考を実際に経験し、JAXA宇宙科学研究所で研究していたメンバーが立ち上げたのが、株式会社レヴィです。「複雑さの中に価値と面白さを見つけよう」をミッションに掲げ、NASA式の「構造化」思考を宇宙開発分野にとどまらず、さまざまなビジネスやプロダクトに応用するため、独自のデザインフレームワークを構築。さらに、「構造化」思考を実践するためのコラボレーションツール「Balus」や、研修・コンサルティングサービスの提供にも取り組んでいます。

今回は、レヴィで取締役を務める安西さんに、「構造化」思考との出会いや、これからのビジネスにおいてなぜ「構造化」思考が欠かせないのかについて、お話をうかがいました。

目次

「構造化」思考との出会い

まずは、安西さんご自身のキャリアについて、紐解いていきましょう。

安西さんは、NEC系列のSIerにてソフトウェアエンジニアとしてキャリアをスタートされました。約7年間にわたりシステム開発に従事した後、当時NECグループ傘下にあったビッグローブへと異動します。

安西さん:

私がビッグローブに異動した2010年前後は、まだウォーターフォール型の開発プロセスが主流でした。

そのような状況の中で、少しずつ注目されはじめていたアジャイル開発の手法を取り入れ、基幹システムの刷新に取り組みました。

開発手法の変革は、それ自体が非常に大きなプロジェクトです。アジャイル的なアプローチ――つまり、小さく段階的にリリースしながら検証していく方法を実現するには、システム自体もそのスタイルに合わせて再構築する必要があります。さらに、それを支える開発組織も同様に、根本から見直す必要がありました。

当時の私は、「構造化」思考という言葉を知っていたわけではありません。それでも、こうした課題に取り組むなかで、局所的な対策では限界があることを痛感しました。問題の本質を構造的に捉え、構造の力で解決していくというアプローチが不可欠なのだと、強く実感したのです。

今振り返ると、この経験こそが「構造化」思考との最初の出会いだったように思います。私は、いわゆるメンバーのモチベーション管理や動機付けといったピープルマネジメントが得意なタイプではありません。ですが、アジャイルやドメイン駆動設計に触れる中で、システムや組織の全体像を構造的に捉え、それらの相互関係を把握することの重要性を学びました。

その後、安西さんは2015年にクラウドワークスへ参画。開発組織のマネジメントに加え、人事責任者として採用や人事制度の構築にも携わりました。

さらに2018年には、コーチングや研修プロダクトを提供するチームボックスに入社。そのほかにも、スタートアップ企業でVPoE(Vice President of Engineering)を務めるなど、一貫して開発部門のマネジメントや、開発組織の立ち上げ・強化といったテーマに取り組んできました。

そして、知人が関わっていたことをきっかけに株式会社レヴィへ参画。2023年からは同社の取締役に就任し、現在に至ります。

「構造化」思考を技術で実践する「ドメイン駆動設計(DDD)」

ソフトウェア開発の世界には、複雑なビジネス課題を整理し、本質的な価値を見極めるためのアプローチとして注目されてきた設計思想があります。それが、「ドメイン駆動設計(DDD:Domain-Driven Design)」です。

ドメイン駆動設計は、システム開発を単なる実装作業としてではなく、ビジネスの本質を構造化し、それをチーム全体で共有しながら設計・開発を進めていく考え方です。ソフトウェアの背後にあるビジネス領域(=ドメイン)を深く理解することが、開発の質を大きく左右するとされています。

安西さんがこのドメイン駆動設計に出会ったのは、ビッグローブに在籍していた時のことです。当時、開発現場でアドバイザーとして関わっていたのが、ドメイン駆動設計の第一人者である増田亨氏でした。

ちょうどその頃、開発手法をウォーターフォール型からアジャイル型へと転換するプロジェクトが進んでおり、その技術的な実装を支える要として、ドメイン駆動設計の考え方が取り入れられました。

この経験は、単なる技術的な刺激にとどまらず、「構造で課題を捉え、整理し、価値につなげる」という安西さんの思考スタイルに大きな影響を与えました。複雑な状況を整理するだけではなく、その背後にある因果関係や相互作用を明らかにし、本質的な解決策を導き出す。このアプローチは、後に実践していく「構造化」思考へとつながっています。

ドメイン駆動設計と構造化思考。いずれも「複雑さの中に秩序を見出す」ための技術であり、安西さんにとっては開発だけでなく、組織づくりやマネジメントにも応用できる、共通の思考の芯となっているのです。

少し整理すると、「構造化」思考とは、複雑な物事を構造的に捉えて整理し、本質的な課題や価値を明らかにするための思考法です。

一方、ドメイン駆動設計(DDD)は、主にソフトウェア開発の領域で用いられる設計思想で、ビジネスの複雑さを「ドメイン(問題領域)」として捉え直し、それをソフトウェアの構造に落とし込むことを目的としています。

こうした観点から見ると、ドメイン駆動設計は「構造化」思考を実践するための手法のひとつとも言えるでしょう。

ここで、ドメイン駆動設計を長年にわたり実践してきた増田さんの視点から、「構造化」思考の特性について話をうかがってみたいと思います。

増田さん:

高度経済成長期には、大量生産・大量販売が“正解”とされ、その前提に疑問を挟む余地はほとんどありませんでした。たとえば、テレビを作れば売れる時代であり、購買ニーズをあらためて検証する必要もなかったのです。

こうした時代に求められていたのが、「ツリー構造」型の思考アプローチです。ひとつの幹(=正解)に向かって枝を広げるように、MECE(漏れなく、ダブりなく)の原則で因数分解しながら、順を追って実行していく。明確なゴールが定まっているからこそ、効率的に進めることができた方法だといえます。

しかし、現代はもはやそうした前提が通用しません。

正解そのものが見えにくい時代においては、ツリー構造的な思考では対応しきれない場面が増えています。

NASA式の「構造化」思考が優れているのは、物事をツリーではなくネットワーク構造として捉える点です。要素同士の関係性や背景にある本質をネットワーク的に理解することで、仮に正解の定義が変わったとしても、すべてをゼロからやり直す必要がなくなります。

変化する正解に対して、構造全体がしなやかに対応し、つながりを持ったまま進化し続けられる――。そこに、現代における「構造化」思考の大きな強みがあると感じています。

たとえば、iPhoneのような革新的なプロダクトは、ツリー構造的なアプローチからはおそらく生まれていないでしょう。因果関係を丁寧にたどって課題を分解していくというよりも、どこかのタイミングで直感や飛躍的な発想が必要になる。そして、その飛躍に至るまでの過程全体を、「構造化」思考と呼ぶことができるのではないかと考えています。

「構造化」思考をより多くの現場へ

ここまで見てきたように、「構造化」思考とは、複雑性や不確実性が高まる現代のビジネス環境において、より良い判断と行動を導くためのアプローチです。明確な正解が存在しない状況でも、本質を見極め、要素の関係性を整理しながら前に進むための、“考え方の技術”とも言えるでしょう。

現在、レヴィではこの「構造化」思考を、さまざまな開発組織に浸透させるための研修サービスを展開しています。そのひとつが、今回ご紹介する「ソフトウェアエンジニアのためのビジネスモデリング道場」です。

この道場では、NASA式の「構造化」思考をベースに、ビジネスの本質を捉える力を育み、企業の競争力の源泉となるソフトウェア開発を担えるエンジニアの育成をめざしています。レヴィでは、このサービスを通じて、より多くの企業がVUCAの時代をしなやかに生き抜くための支援を行っています。

安西さん:

レヴィに参画して以降、私自身も自社プロダクトである「Balus」を日々活用しながら、「構造化」思考に取り組んできました。そうした実践の中で、今回お話ししてきた当社サービスの価値を、ようやく言語化できるようになってきたと感じています。

これまでの仕事を通じて得てきた経験や学びが、今まさにひとつにつながっていく――そんな実感があります。

今後は、当社の「構造化」思考をより多くの企業に活用いただき、さまざまな現場で価値を届けていければと思っています。

取材対象者プロフィール

安西 剛(やすにし つよし)
株式会社レヴィ 取締役/プロダクトマネージャー

NEC系列のSIerでソフトウェアエンジニアとしてキャリアをスタート。その後、当時NECグループ傘下だったビッグローブへ異動し、アジャイル開発と出会う。さらにクラウドワークスにて、開発組織のマネジメントに携わるほか、採用や人事制度の構築にも従事。続いてチームボックスでは、リーダー育成事業に関わり、「リーダーシップ」や「人の成長」というテーマに深く向き合うようになる。その後も、スタートアップにてVPoE(Vice President of Engineering)を務めるなど、多様な経験を重ね、現在はレヴィ株式会社の取締役として、自社サービス「Balus」のプロダクトマネジメントや、構造化ファシリテーターとしての活動に取り組んでいる。

増田 亨(ますだ とおる)
有限会社システム設計 代表取締役

富士通や日本オラクルにてソフトウェアエンジニアとして従事したのち、2003年に有限会社システム設計を設立し、代表取締役に就任。日本におけるドメイン駆動設計(DDD)の第一人者として、さまざまな企業やエンジニア組織のアドバイザーや講演等を行う。著書に『現場で役立つシステム設計の原則 ~変更を楽で安全にするオブジェクト指向の実践技法』、訳書に『ドメイン駆動設計をはじめよう』がある。

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