ナレッジ

東京証券取引所が発表した「上場審査に関するFAQ」の内容まとめ

2024年11月11日、東京証券取引所(東証)は「上場審査に関するFAQ集」を公表しました。本資料は、上場を目指す企業や関係者が抱える疑問や誤解を解消し、円滑に上場準備を進めるための指針となるものです。特に、赤字上場の可能性や上場準備中のM&A、予実乖離(予算と実績のズレ)への対応など、BizDev(事業開発)に携わる方にとっても重要な論点が含まれています。

本記事では、FAQの主要ポイントを整理し、上場を検討する企業にとっての示唆を解説します。

参考:上場審査に関するFAQ集(東京証券取引所)

赤字上場の可能性は? ー 成長性がカギ

「上場するには黒字化が必須」と考えがちですが、東証は赤字上場も可能であると明言しています。主幹事証券会社が成長可能性を評価し、投資家の支持が得られると判断すれば、たとえ赤字であっても上場できる可能性があります。

実際の赤字上場企業の例

以下は、赤字上場を果たした企業の一例です。

※図:東証作成資料をもとにBizDevキャリア編集部にて編集

特に、バイオ・ヘルステック、宇宙・ディープテック、FinTechなどの領域は、成長性を評価されやすい傾向にあります。

赤字上場を検討する企業にとっては、「なぜ黒字ではなくとも市場に受け入れられるのか?」を説明できるストーリーが求められます。

上場準備中のM&Aは問題ない?

「上場準備中はM&Aを控えるべき」と考える人もいますが、東証はM&Aを理由に上場を否認することはないとしています。むしろ、戦略的なM&Aによる成長はポジティブに評価されるケースもあります。

上場準備中にM&Aを実施した事例

例えば、2023年6月に上場したシーユーシー(CUC)は、2021年4月にメディカルパイロットを子会社化、2023年1月にネイチャーなどを子会社化という流れで、上場準備中も積極的にM&Aを行っていました。

重要なのは、M&Aの目的が明確であり、統合プロセスが適切に管理されていることです。上場を目指す企業は、「M&Aの狙い」「PMI(ポスト・マージャー・インテグレーション)の計画」などを整理し、投資家に対して納得感のある説明ができるように準備を進めることが重要です。

予算と実績のズレ(予実乖離)は問題になる?

予算と実績が大きく乖離した場合、上場審査に影響するのではないかと懸念する企業も少なくありません。しかし、東証は乖離そのものを問題視することはないと明記しています。

予実乖離が発生した際のポイント

重要なのは、以下の2点です。
✅ 予算の作成プロセスが合理的であるか
✅ 乖離が生じた際に適切な説明と対応が取られているか

例えば、大型案件の失注、主要顧客の契約変更、新規事業の立ち上げ遅延などの理由で業績が計画と異なる場合、その背景や対応策を適切に説明することが求められます。

まとめ

本記事では、東京証券取引所が発表した「上場審査に関するFAQ集」の中から、赤字上場、M&A、予実乖離の3つの重要ポイントについて解説しました。

重要ポイント

✅ 赤字上場は可能(成長ストーリーがカギ)
✅ 上場準備中のM&Aは問題なし(戦略的に実施すればポジティブ)
✅ 予実乖離は問題にならない(合理的な説明と対応が重要)

上場を目指すBizDev担当者にとっては、これらの知見を活かし、投資家や市場に対して納得感のある成長戦略を描くことが求められます。今後のIPO市場の動向も踏まえながら、事業成長の戦略を検討していきましょう。

BizDevとしてのスキルやノウハウを活かして働きたいみなさんへ

ご覧いただいている「BizDevキャリア」を運営するtalental(タレンタル)株式会社では、BizDev領域の即戦力人材レンタルサービス「talental」を提供しています。現在、副業・フリーランス人材のみなさんのご登録(タレント登録)を受け付けています。無料タレント登録はこちらから。これまで培ったスキルやノウハウを活かして、さまざまな企業のプロジェクトに参画してみませんか?

意思決定バイアスを克服する方法:ビジネスの成功を左右する思考の罠とは?前のページ

日本リスキリングコンソーシアムが発表した「AI人材育成白書」の要点次のページ

関連記事

  1. ナレッジ

    企業の透明性を支えるディスクロージャーの重要性と実践方法

    ディスクロージャーは、企業がステークホルダー…

  2. harassment-image
  3. diversity
  4. bank-of-japan
  5. OKR

    ナレッジ

    目標管理手法「OKR」の特徴、そしてMBOとの違いについて解説

    企業が成長し、目標を達成するためには、効果的…

  6. human-capital

インタビュー

  1. mikura_001

人気の記事

  1. business-framework
  2. solopreneur
  3. question
  4. abduction-image
  5. mikura_001
  6. workplace-image
  7. ai-report-image

最近の記事

  1. pivot

カテゴリー

PAGE TOP