

大企業の中からイノベーションを起こす——その使命を背負う「イントレプレナー(社内起業家)」に、近年あらためて注目が集まっています。しかし、自由度やスピードが制限された環境で新しい価値を創るのは、想像以上に高いハードルの連続です。本記事では、イントレプレナーが組織内で直面しやすい3つの構造的な壁を整理し、それを乗り越えるために必要な実践的思考と行動指針を解説します。
イントレプレナー(Intrapreneur)とは、企業の内部にいながらも、新規事業の立ち上げやプロダクトの創出、業務の抜本的改革に挑む存在です。ただし、スタートアップとは異なり、既存組織の制約・論理の中で勝負するという特徴があります。
したがって、イントレプレナーとは単なる“新しいことをやる人”ではなく、以下のように再定義できます。
つまり、外と内のあいだで葛藤しながらも、両者の言語を行き来できる“複数言語話者”であることが求められるのです。
大企業には、再現性・信頼性・リスク回避を前提とした意思決定構造があります。一方、新規事業やプロダクト開発には、仮説ベースで素早く試す思考が求められます。この“前提の違い”こそが摩擦の本質です。
「社内の速度」を変えることはできなくても、その中でスピードを生む方法は設計可能です。たとえば:
組織の論理に飲まれず、逆にそれを使いこなすスタンスが求められます。
イントレプレナーは、リソース・注目・自由度の観点で「社内で特別扱い」される立場です。これは、既存事業から見れば“異物”となりやすく、無意識の摩擦が起きやすい構造でもあります。
孤立を防ぐには、自分の事業が**「全社課題の解像度を上げている」**と理解してもらうことが重要です。たとえば:
つまり、「なぜそれを今この会社でやるのか」を、自分の言葉だけでなく、“組織の言葉”で伝えることが求められます。
新規事業は、すぐに成果が出ない・定量評価しにくいという性質があります。しかし多くの企業は、既存の評価制度(短期業績中心)でイントレプレナーを評価しようとします。
まず必要なのは、“見えない仕事”を意識的に言語化し、可視化するスキルです。さらに:
自分の成果を翻訳して渡す能力が、評価不在の環境では大きな武器になります。
3つの壁を乗り越える鍵は、単なる個人の突破力ではなく、構造を読み、環境に合わせて行動を設計するメタ認知力にあります。
制度、意思決定構造、評価文化など、“組織のルールブック”を読む力を鍛える。制度を変えるのではなく、まず構造を理解する。
“説明責任”ではなく“共感責任”を果たす。なぜやっているか、なぜ自分がやるのか、なぜ今やるのかを共通言語で語る設計を。
「何を達成できたか」ではなく、「どこまで進んだか」を定期的に振り返る習慣。周囲の無理解に耐えるには、自分との対話の質が鍵となる。
イントレプレナーが社内で成果を出すためには、論理とスピードの齟齬、既存事業との摩擦、曖昧な評価と孤立という3つの壁を乗り越える必要があります。
これらの壁はすべて“個人の問題”ではなく、構造的なものです。それを読み解き、自らの行動を設計し、組織との接続点を見出す力こそが、イントレプレナーとしての本質的な成長を支えます。
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