

多くのBizDev担当者やマネージャーがKPIを用いて業績管理を行っていますが、「KPIを追っているのに成果が頭打ちになる」という悩みを抱えていないでしょうか?その背景には、KPIという“単一の数字”では捉えきれない、事業・チームのパフォーマンスの多面性が存在します。本記事では、KPIとパフォーマンスメトリクスの違いを明らかにしながら、真の成果創出につながるメトリクス設計と運用の全体像を詳しく解説します。
KPI(Key Performance Indicator)は、ある目標達成に向けた“主要な指標”です。例として「月間新規契約数」「受注率」などが挙げられます。しかしKPIは、基本的にアウトカム(結果)寄りの指標であり、「なぜその結果になったのか」を説明するには不十分なことも多いのです。
一方でパフォーマンスメトリクスは、KPIを含みながらも、成果の背景にある要因やプロセス、スキルや仕組みまでを可視化するためのフレームワークです。つまり、KPIが「ゴールの道標」だとすれば、パフォーマンスメトリクスは「地図全体」を描くような存在です。
BizDevのように変数の多い領域では、複数の視点からパフォーマンスを捉えることで、より再現性ある成長戦略を描くことが可能になります。
KPIを導入したものの、現場でうまく機能しない企業には共通点があります。代表的な失敗例としては以下の3つが挙げられます。
このような落とし穴を避けるには、KPIを“成果の結果”として捉えるだけでなく、“成果をつくる構造”まで見えるようにする、つまりパフォーマンスメトリクスの視点でKPIを再設計する必要があります。
優れたパフォーマンスメトリクスは、以下の3つの階層で設計されます。
売上、受注件数、LTV、チャーン率など、事業インパクトに直結する結果系の指標です。
顧客のステージごとの転換率、商談化率、NPS、メール返信率など、アウトカムを左右する要因群です。
担当者のスキル習熟度、プロダクトの導入環境整備率、チームの対応リードタイムなど、事業遂行能力を定量化する指標です。
たとえば、SaaS企業であれば「解約率(アウトカム)」→「オンボーディング完了率(ドライバー)」→「カスタマーサクセス人員の稼働率(キャパシティ)」といったように、メトリクス同士の因果関係が構造的に把握できると、戦略的な打ち手設計が可能になります。
パフォーマンスメトリクスの導入にあたっては、以下のようなステップを踏むと効果的です。
目的を“売上向上”ではなく、“チャーン率の抑制”などできる限り具体化しましょう。
目標達成に至るまでのプロセスと要因を言語化・図解化し、どこがレバレッジポイントかを明確にします。
アウトカム・ドライバー・キャパシティの各階層に、目的に即した指標を設計します。定性要素を数値に置き換える工夫も重要です。
Googleスプレッドシート、BIツール(Looker、Tableau)、CRM(HubSpotなど)を活用して、リアルタイムでのモニタリング環境を整えましょう。
関連記事:「CRM」と「SFA」について、かんたんにおさらいしておこう
作っただけでは意味がありません。チームMTGやレビューの中に組み込み、継続的に改善される仕組みにします。
優れたパフォーマンスメトリクスは、戦略と現場のギャップを埋める翻訳機でもあります。しかし運用が属人的であったり、分析だけで終わってしまうと、せっかくのメトリクスも形骸化してしまいます。
以下の3つの運用原則を持つことで、メトリクスが生きた経営資源に変わります。
実際、急成長を遂げる企業群に共通するのは、以下のような文化と運用体制です。
このような組織では、メトリクスが単なる“評価ツール”ではなく、日々の意思決定や改善アクションを加速させる“戦略資産”として活用されています。
KPIは成果を測るための重要な手段ですが、それだけでは事業の本質的な課題や成長要因を捉えることはできません。パフォーマンスメトリクスは、アウトカム・ドライバー・キャパシティの3階層でパフォーマンスを構造化し、成果に直結するアクションを導き出すための強力なフレームワークです。
設計と運用を戦略に組み込むことで、BizDevにおける再現性ある成果創出が実現します。
副業をお考えのみなさんへ
ご覧いただいている「月刊タレンタル」を運営するtalental(タレンタル)株式会社では、BizDev領域の即戦力人材レンタルサービス「talental」を提供しています。
現在、副業・フリーランス人材のみなさんのご登録(タレント登録)を受け付けています。タレント登録(無料)はこちらから。
これまで培ったスキルやノウハウを活かして、さまざまな企業のプロジェクトに参画してみませんか?