サイバーエージェントが社内向けに開発した「シーエーアシスタント」は、業務効率化と生産性向上を目指す画期的なAIツールです。この記事では、その特徴や開発背景、期待される効果について詳しく解説します。AIを活用した業務改革の最新事例として参考になることと思います。
参考:広告事業に従事する社員一人ひとりに専属AIアシスタントを提供 生成AI活用でオペレーション業務の効率化を図る社内アプリケーション「シーエーアシスタント」を自社開発(サイバーエージェント)
開発の背景と目的
サイバーエージェントは、生成AI技術の急速な進化を背景に、全社員の生成AIリテラシー向上および業務活用を目指して、2023年に「AIオペレーション室」を設立しました。この部署では、生成AIの活用ノウハウの蓄積やプロダクト開発、業務プロセスの標準化、AI人材育成に力を入れています。
広告事業においても、広告効果を最大化するためには、細かな広告配信設定や運用改善、レポート作成といった多岐にわたる作業が求められます。サイバーエージェントでは、生成AIを活用することでこれらの広告オペレーションの効率化を図るため、「ChatGPTオペレーション変革室」を2023年に設置しました。この取り組みにより、月間約23万時間に及ぶ広告オペレーション作業のうち、30%に相当する約7万時間の削減を目指しています。
生成AI技術の導入により、サイバーエージェントは広告オペレーション業務の効率化を実現してきましたが、さらなる進化を目指しています。同社は、生成AI活用を通じて“業務の在り方自体を再構築”し、“AIと人間の協業”を強化するために、社員一人ひとりにAIアシスタントを導入する方針を打ち出しました。
シーエーアシスタントの5つの主要機能
シーエーアシスタントで実現される主な機能は、以下の5つです。
機能1:広告分析
サイバーエージェントが独自に利用している広告運用BIツール「CA Dashboard」のデータを元に、広告効果の分析やそれを踏まえたコメントをAIが作成します。
機能2:グラフ作成
「CA Dashboard」のデータを元に、AIボットと対話しながら適切なグラフ作成を行います。
機能3:初期構築管理
インターネット広告を運用する際に必要となる、主要媒体における広告配信開始までのタスク生成と進行管理をAIが行います。各種タスクにおけるFAQに回答するなど、広告配信開始までをAIがガイドすることが可能です。
機能4:テクニカルサポート
サイバーエージェントの事業部内で提供している各種システムにかかわる質問にAIが回答します。また、Google タグマネージャー、各種SDK、LINEビジネスコネクト等、広告運用にかかわる各種計測についての質問にも、AIが回答。多数パターンがある計測に関連する質問にも自動回答し、質問者・回答者双方の工数を削減します。
機能5:一次回答作成
サイバーエージェントのクライアント企業へのSlackおよびメールの一次回答をAIが作成。メッセージの管理・添削・送信までをワンストップで行うことができます。
期待される効果
サイバーエージェント社では、このシーエーアシスタントの導入により、「品質の向上とともに広告オペレーション総時間2.4万時間の削減を図り、顧客の広告効果最大化のための時間を創出」するとコメントしています。さらに、今後の展望として、クライアント企業へ、このシーエーアシスタントの一部機能の解放も検討されているようです。
まとめ
サイバーエージェントの「シーエーアシスタント」は、AI技術を活用した業務改革の最先端事例です。社内情報へのアクセス性向上、業務効率化、生産性向上など、多くの効果が期待されています。BizDev・事業開発領域で活躍する方々にとって、AI活用の可能性や競争力強化の方向性を示す重要な事例といえるでしょう。今後、多くの企業がこのような取り組みを参考に、独自のAI戦略を展開していくことが予想されます。