国内最大級5,600万人超のユーザー数を誇る「クラシル」が、2023年11月に開始した人材サービスが「クラシルジョブ」です。この記事では、クラシルジョブの概要や背景、特長、そして今後の展望について詳しく解説します。どのような課題認識に基づき、どのような形で人材領域に進出したのか、その全貌を探ります。
国内最大級のレシピサイト「クラシル」とは?
「クラシル」については、もはや説明不要かもしれません。dely株式会社が運営する「クラシル」は、利用者数5,600万人を誇る国内最大級のレシピ動画プラットフォームです。「80億人に1日3回の幸せを届ける」をミッションに掲げ、毎日使いやすく、日々の暮らしが楽しくなる情報が集まり、人のあたたかさが伝わるサービスを目指し運営されています。
2016年2月にサービスを開始し、2018年7月にはヤフーとの資本提携を発表、その後さらに拡大加速しています。
クラシル:https://www.kurashiru.com/
クラシルジョブの概要
クラシルジョブは、クラシルが提供する新たな人材サービスです。このサービスは、掲載課金型の求人広告モデルではなく、求人企業から成約時にユーザーの年収に応じた手数料を課金する人材紹介モデルを採用しているようで、現状では主に未経験者や若手向けに特化しています。特に、履歴書を書いたことがない、未経験で不安、年収を上げたい、正社員になりたいといった転職潜在層のユーザーを支援することを目的としています。
クラシルジョブ:https://jobs.kurashiru.com/
クラシルジョブの特長
クラシルジョブの特長は以下の通りです。
- 5,600万人超の利用者を誇るクラシルのユーザー層にアプローチできる
- 未経験から正社員を目指す若年層を対象にした人材紹介サービス
- 施工管理、営業、ITエンジニア、接客・販売、事務職など多岐にわたる職種をカバー
- スマホ一つで履歴書と職務経歴書を無料で簡単に作成できる「ワンポチ」を提供
- 書類作成や転職の悩みを解決するためのお役立ち記事を随時提供
レシピサイト「クラシル」が人材事業を開始した背景
クラシルジョブが開始した背景については、クラシルを運営するdely代表である堀江CEOのインタビュー動画が非常に参考になります。
堀江CEOによると、クラシルジョブは国内企業、特に地方企業の人手不足という課題を解決するために開始されました。特に、2040年には労働力不足が1,000万人に達すると予測され、その多くがエッセンシャルワーカーであることから、クラシルジョブでは地方企業のエッセンシャルワーカー確保という課題解決に重きを置いていることがわかります。
これまでクラシルではレシピサービスを通して多くのユーザーに価値提供を行うとともに、小売企業や食品メーカーに対してそのユーザーの集客という部分で価値提供を行ってきましたが、昨今の市況を考えるうえでは集客以上の課題といっても過言ではない人材採用に対する課題解決策を提供するため、クラシルジョブを立ち上げたと堀江CEOは述べています。
クラシルジョブのビジネスモデルについての考察
次に、クラシルジョブのビジネスモデルや規模についても考察してみましょう。
まず最初に人材サービスの生命線となる求職者数ですが、クラシルの利用者が5,600万人、そのうち専業主婦・専業主夫や学生の方、シニアの方も一定程度いると思いますので、就業者の比率を7割とざっくり仮定します(根拠として使えそうなユーザー属性データが見当たらなかったので本当にざっくり仮定です)。総務省統計局の労働力調査(詳細集計)2023年1~3月期平均の結果によれば、就業者に占める転職者比率が4.4%ですので、そこから推察すると150万人から200万人程度の求職者ボリュームを有する人材サービスととらえてよいかもしれません。
また、マネタイズについてですが、人材紹介モデルであり、ユーザーの平均年収は500万未満をメイン属性としているところから、成約単価は100万円から150万円前後ではないかと考えられます。ハイレイヤーの人材紹介ビジネスにおける成約単価に比べればかなり単価は低くなるわけですが(ミドル・エグゼクティブ層に強いJACリクルートメントの2023年12月期決算戦略説明会資料によれば成約単価は220万円)、堀江CEOのインタビュー動画を踏まえて考えると、クラシルのユーザーデータを基盤とすることで広告宣伝費を抑制し、「AIネイティブで労働集約型の市場をひっくり返す」と堀江CEOが述べているように、AIによるマッチングの効率化を推し進めることで生産性を高めていく作戦であろうと思われます。
今後の展望
クラシルジョブは今後、さらなるサービスの拡充と利用者の増加を目指しています。具体的には、転職活動をよりカジュアルにし、アプリ内で完結するようなシステムを構築する計画であるようです。堀江CEOは、上記インタビュー動画内でも「AIと面接したら、あとはそれを企業が見て合格通知だけが来るような世界」を目指したいとコメントしています。
また、クラシルと同じように非人材事業において多くのユーザー数を誇るメルカリも、「メルカリハロ」というタイミーと同じようなスキマバイトサービスをリリースしています。人材ビジネスは非常に大きな市場かつ生命線となるのは働き手となるユーザー獲得にあるため、別領域で獲得したユーザーデータを武器に、非人材領域からの参入も引き続き増えていくことが予想されます。
まとめ
この記事では、レシピサイト「クラシル」が手掛ける人材事業「クラシルジョブ」について、その概要や背景、特長、そして今後の展望について解説しました。国内最大級のレシピサイトであるクラシルによるこの人材事業の立ち上げの経緯やプロセスについては、企業内での新規事業立ち上げを検討するBizDevパーソンにとっても参考となる事例でしょう。
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