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「zcareer platform」をリリースしたHR系スタートアップROXX、そのピボットと成長の変遷

zcareerplatform
画像引用:ROXX公式リリースより

人材紹介会社向けのクラウド求人データベース「agent bank」やリファレンスチェックサービス「back check」を運営するHR系スタートアップROXXが、2024年7月1日より、「agent bank」を「zcareer platform(Zキャリアプラットフォーム)」としてリニューアルしました。

この「zcareer platform」は、非正規や非大卒のノンデスクワーカーと、未経験からの正社員採用を行う求人企業のマッチングを支援するサービスです。

以前から運営していた「agent bank」からさらにターゲットゾーンを明確に打ち出す形で進化した「zcareer platform」とはどのようなサービスなのでしょうか。また、多くのピボットを経て進化するHR系スタートアップROXXの変遷を追うことは、BizDevとしてのキャリアアップを志すビジネスパーソンにとっても、参考になるのではないでしょうか。

多くのピボットを経て成長する運営会社ROXX

今回取り上げる「zcareer platform」を運営するROXXは、2013年に当時大学生だった中嶋氏によって設立されたHR系スタートアップです。

設立当初はRENOという社名で新卒人材紹介事業としてサービスを開始し、その後2016年に個人が副業として転職エージェント活動を行うことができる「SCOUTER」というサービスをリリース、それに伴い社名もSCOUTERに変更し、約6,100万円の資金調達を発表しています。

その翌年2017年には、さらに1.5億円の資金調達を行い、拡大を狙ったものの、残念ながら成長は実現できず、ピボットすることとなります。同年のリリースによれば雇用契約を結ぶスカウター(個人の副業転職エージェント)は2,200人となっていることを考えると、スカウターの獲得よりも場の活性化に課題があったと推察できます。

参考:2度の社名変更とピボット。「地獄を見た」ROXXだから語れる、執念の価値(FASTGROW)

「SCOUTER」を法人として利用したいという人材紹介会社の声をもとに、2018年に「agent bank」の前身となるクラウド求人プラットフォーム「SARDINE」をリリース。1,000社超の求人情報を月額制で紹介先として利用できるという、人材紹介会社の求人開拓支援という特徴を武器に拡大し、翌2019年には累計導入紹介会社が300社を超えるまでに成長しました。

その後、リファレンスチェックサービス「back check」をリリース、直近数年はこの2つの事業を軸に成長を続け、2022年の段階では累計調達額は35億円となり、従業員数は249名(役員含む、2024年4月時点)の規模になっています。

参考:One Capital、グローバル・ブレイン、マイナビらより10億円を資金調達し、累積調達額約35億円へ(公式リリース)

年間転職決定数は7,000人、クラウド求人データベース「agent bank」

人材紹介会社は、有料職業紹介の許認可こそ必要ですが、比較的参入障壁の低いビジネスであり、人材派遣会社や求人広告会社などのHR領域だけでなく、その他様々な異業種参入も頻繁に行われます。厚生労働省の発表によれば、2022年時点での有料職業紹介事業所数は28,740件となっており、毎年多くの新規参入があることがわかります。

民営職業紹介事業所数の推移

新規で許認可を取得した人材紹介会社にとって最初の課題となるのが紹介先となる求人企業の獲得です。求職者獲得においても求人企業がないことには紹介ができなかったり、面談へ誘導する訴求ができなくなってしまうため、まずここの課題を解決することが新規紹介会社の立ち上げ時には必須となり、これをサブスクモデルで支援するのが「agent bank」となります。

2018年の「SARDINE」としてのサービス開始から5年を経て、掲載求人数は約43,000件(2022年からの提携先であるパーソルキャリア「doda」のものを含む)、人材紹介会社から求人企業への推薦数は40万件、年間転職決定数は7,000人という規模まで拡大しています。

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画像引用:ROXX公式リリースより

ノンデスクワーカー領域×未経験採用にフォーカスし、「zcareer platform(Zキャリアプラットフォーム)」としてリニューアル

今回のリニューアルは、従前より運営していた「agent bank」を、よりサービスの実態に合わせた形でリブランディングした側面が強いでしょう。2024年1月に発表された年間転職決定数が7,000人を突破というリリースの中にある「agent bank」のサービス説明が以下のようになっています。

非正規や非大卒を中心とした未経験の求職者のための正社員転職プラットフォームです。少子高齢化を背景に人手不足が進み、人材獲得競争のさらなる加速が見込まれるなか、25〜34歳の約65%が非大卒、労働人口の約55%が年収400万円未満であると言われています。一方で、国内人材紹介市場において、その多くが学歴や職歴を持った即戦力の求職者を対象としたサービスとなっています。agent bankではこうした業界構造に着目し、未経験の求職者と採用企業のダイレクトマッチングに加えて、そのパートナーである人材紹介会社の支援サービスを展開しています。

【ROXX公式リリース】agent bankを利用した転職者の年間決定数が7千人を突破(2024年1月9日)

このことからも、当時よりサービス実態はサービス・卸売/小売・医療/福祉などの業種におけるノンデスクワーカーがマッチングの中心であったと考えられます。

このサービス実態と合わせて、競争環境がより激しくなっているということも、リニューアルの背景と考えられます。ROXXが「SARDINE」をリリースした2018年には、まだまだ類似の人材紹介会社向け求人データベースは多くありませんでしたが、昨今では「Crowd Agent」「circus AGENT」「JoBins」「カウレポ」「マイナビJOBシェアリング」など競合サービスが多数生まれています。

こうした外部環境の変化とサービス実態を踏まえ、より訴求力を強めるためのリブランディングとしてのリニューアルと考えられます。

まとめ

今回発表された「zcareer platform」を運営するROXXは、新卒人材紹介事業、副業型の転職エージェントプラットフォームを経て人材紹介会社向けの求人データベース「agent bank」、リファレンスチェックサービス「back check」へと、多くのピボットと新規事業創出を行うことで、成長を実現してきたスタートアップです。そして今回の「zcareer platform」へのリニューアルにより、また次の成長曲線を描こうとしています。

人材ビジネスという大手プレイヤーが多い巨大市場で、スタートアップがどのように戦い、競争優位性を構築していくのか。ROXXのピボットの変遷と新規事業創出の動きは、BizDevを志すみなさんにとっても、参考となる事例だと思います。

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