

人材サービス業界で一般的に行われてきた「お祝い金」の支給が、2025年4月から原則禁止されることになりました。さらに、求職者に提供するサービスに関する手数料や違約金などの利用規約を企業側が明確に提示することも義務化されます。この規制の強化により、事業者は新たな対応を求められています。本記事では、これらの新しいルールの背景や具体的な内容、事業者が注意すべきポイントについて解説します。
参考:人材サービスを利用し就職した人への“お祝い金” 原則禁止へ(NHK)
「お祝い金」とは、求職者が人材紹介サービスや求人サイトを通じて就職や転職を成功させた際に、事業者から支給される金銭のことを指します。主に以下の目的で利用されてきました。
例えば、「転職が決まると5万円のお祝い金を支給」といった形でPRされることが一般的でした。しかし、こうした金銭の支給が、求職者の本来の意思や選択に影響を及ぼす可能性が指摘されています。
お祝い金の原則禁止と利用規約の明示義務化には、以下の理由が挙げられます。
お祝い金が転職先を選ぶ主要な動機になる場合、求職者が自分に適した企業よりも、金銭的な報酬を優先して選択してしまう可能性があります。このようなケースは、雇用のミスマッチや早期退職を引き起こす原因となりかねません。
お祝い金の額が事業者によって異なることで、求職者がサービスの内容ではなく、金銭額で選ぶ傾向が強まることが問題視されています。これにより市場の競争がサービスの質ではなく、金額ベースで進行する不健全な状況が生まれていました。
厚生労働省が示した新たな指針では、求職者と事業者の関係をより透明で公正なものにするため、手数料や違約金などの条件を企業側が明示する義務を設けました。これにより、求職者がサービスを利用する際に隠れたコストや条件を知らずに契約を結ぶリスクを減らす狙いがあります。
2025年4月から、求職者に対する金銭の直接的な提供や、金券、ギフトカードなどの非金銭的なインセンティブも原則禁止されます。また、これらを訴求する広告やキャンペーンも規制の対象となります。
新たな指針では、サービスの利用規約を事前に求職者に明示することが義務化されます。これには以下が含まれます:
事業者がこれらを明確に提示することで、求職者が情報不足の状態でサービスを利用することが防がれると期待されています。
新しい規制を受けて、人材サービス事業者は以下のポイントに注意する必要があります。
厚生労働省の指針を十分に理解し、自社の運営が適法であることを確認する必要があります。特に、現在実施しているキャンペーンや広告が新ルールに違反していないかを早急に見直すことが求められます。
お祝い金に代わる新たな競争力を構築することが重要です。例えば、スキルアップ研修の提供やキャリアコンサルティングの充実、さらには就業後のフォローアップ体制の強化などが効果的です。
利用規約の明示は単なる法的義務ではなく、求職者との信頼関係を築くための重要な要素です。わかりやすい言葉で規約を説明し、隠れたコストがないことを明確にすることで、サービスの魅力を向上させられます。
新規制への対応を確実にするためには、弁護士や労務管理の専門家と連携し、適切な助言を得ることが推奨されます。また、規制違反が生じた場合のリスクを最小限に抑えるための体制を整えることも重要です。
規制強化が進む中で、業界全体には以下のような変化が予想されます。
お祝い金に代わり、転職後の満足度やサービスの質が事業者間の競争軸となるでしょう。特に、企業と求職者のマッチング精度を向上させる仕組みの整備が求められます。
金銭的なインセンティブが減少することで、求職者はより慎重に自分に合った企業を選ぶようになると考えられます。これにより、雇用の質の向上が期待されます。
手数料や違約金の明示義務化により、業界全体の透明性が向上し、求職者の信頼を得るサービスが増加するでしょう。
人材サービスにおける「お祝い金」の原則禁止と、手数料や利用規約の明示義務化は、業界に大きな影響を与える重要な変化です。事業者は、これらの規制に適応し、より付加価値の高いサービスを提供することで競争力を維持・向上させる必要があります。本記事を参考に、新たな市場環境に対応するための施策を検討してください。
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