
短期間で連続的にM&Aを実行し、急速な成長を遂げる「ラッコ企業」が注目を集めています。これは、ラッコが大量の貝を食べ続ける“大食漢”であることにちなんだ表現で、企業や事業を次々と「食べて」自らの成長の糧とする企業群を指します。GENDA、SHIFT、ノジマなどがその代表例であり、スピード感と大胆な戦略で市場を席巻しています。本記事では、「ラッコ企業」の定義や背景、代表的な企業例について詳しく解説します。
参考:連続M&Aが生む株高 大食漢の「ラッコ企業」にマネー(日本経済新聞)
ラッコ企業とは?語源と定義を解説
ラッコ企業とは、短期間に複数の企業や事業を連続して買収し、自社の成長エンジンとして取り込み続ける企業を指す比喩的表現です。この言葉は、ラッコという動物の“異常なほどの食欲”に由来します。ラッコは自らの体温を維持するために、1日に体重の4分の1以上の貝や魚を食べ続けなければ生きられない「大食漢」として知られています。ラッコ企業もまた、常に次のM&A案件を探し続け、事業の規模・領域・影響力を拡張していきます。単なる多角化ではなく、戦略的に「事業を食べて生き抜く」姿勢が特徴です。
なぜ今、連続M&Aで成長する企業が増えているのか
ラッコ企業が台頭してきた背景には、国内市場の成熟と少子高齢化による成長の停滞があります。自前主義ではスピード感を持った事業拡大が難しい中、既存のリソースを買収によって迅速に取り込むM&A戦略が注目されるようになりました。また、スタートアップや中小企業のM&A市場が活性化し、「売れる会社」が増えたことも、ラッコ企業が増加する要因の一つです。さらに、資金調達環境の改善やPEファンドとの連携により、規模を問わず多くの企業が連続M&Aを選択できるようになりました。これにより、事業構造そのものを再構築する企業が増えています。
代表的なラッコ企業4選
ラッコ企業の象徴的存在がGENDAです。SEGAのアーケードゲーム事業を皮切りに、映画館や海外アミューズメント企業を次々と買収。エンタメ体験の垂直統合を進めながら、短期間でグローバル展開まで果たしています。
SHIFTは、ソフトウェアテスト領域から始まり、ITコンサルやSES、人材派遣などの周辺企業を100社以上傘下に収め、IT業界でのラッコ的ポジションを築いています。
ノジマは、家電量販から通信・PCサポート、法人IT領域にまでM&Aで事業拡大を図ってきました。買収後もブランドや組織を尊重しつつ、独自のマネジメントでシナジーを生み出すスタイルが特徴です。
技術承継機構は、中小企業の事業承継に特化し、地域産業の継続と成長を支援するという、社会的意義を伴ったラッコ企業といえるでしょう。
増え続けるラッコ企業、その背景と今後の可能性
今後もラッコ企業は、さまざまな業界で出現していくと考えられます。特に、レガシー産業×テクノロジー領域や、サポート業務などのBPO領域では、買収によるスケールメリットが発揮されやすく、M&Aが有効な戦略になります。また、企業間の境界が曖昧になっていく中で、事業ドメインをまたいだ横断的なラッコ企業の登場も増えるでしょう。BizDev視点で見ると、買収した事業の統合、再成長、シナジー創出を担う人材へのニーズが高まっていくと考えられます。市場を“食べて”生き抜くラッコ企業は、今後の事業開発のトレンドとして一層注目されるはずです。
まとめ
ラッコ企業とは、ラッコのように大食漢であり、連続的なM&Aによって事業や企業を次々と取り込みながら急成長を遂げる企業のことです。GENDAやSHIFT、ノジマのように、同業や周辺事業を戦略的に買収することで、短期間でのスケールアップと市場支配力を手に入れています。今後、こうした企業は業界を超えて広がり、BizDev人材にとっても活躍の場がますます拡大していくでしょう。
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