
新しいプロジェクトを立ち上げたり、組織に変化を起こそうとしたとき、リーダーの存在だけでは物事は動きません。実は「最初に共感し、一緒に動き始めた人=ファーストフォロワー」が、ムーブメントを生み出すカギを握っています。この記事では、ファーストフォロワー理論とは何かを解説しつつ、実際のビジネスシーンでどう応用できるかをわかりやすく紹介します。
ファーストフォロワー理論とは何か?
ファーストフォロワー理論とは、ムーブメントや変革が広がる際に、「最初にリーダーに賛同し、行動を共にするフォロワー」の存在が極めて重要であるという考え方です。この理論は、2010年にTEDで公開された短いスピーチ「How to start a movement(ムーブメントの始め方)」によって注目され、世界中のビジネスリーダーや教育現場で取り上げられるようになりました。
動画では、一人で踊っていた男性に、最初の一人が加わったことで次々と人が集まり、最終的に大勢が一斉に踊り出す様子が紹介されています。ここで注目すべきなのは、「最初に立ち上がったリーダー」ではなく、その行動に最初に賛同した“最初のフォロワー”の勇気と影響力です。
リーダーではなく、最初のフォロワーが鍵を握る理由
多くの人は、「新しいことを始めるには強いリーダーシップが必要」と考えがちですが、実際には「一人だけが動いている状態」はまだムーブメントとは言えません。むしろ、最初のフォロワーが加わることで、「これは一人の変わり者の行動ではない」と周囲に認識されることが、変化の第一歩になります。
ファーストフォロワーが現れると、他の人にとっても「この流れに乗ってもいい」という安心感が生まれます。また、リーダーが一方的に指示を出す構図ではなく、「共に行動する仲間」がいることで、取り組みが加速度的に広がっていくのです。つまり、変化の正当性や信頼感を担保するのがファーストフォロワーの役割であり、彼らがムーブメントの“触媒”となるのです。
実際のビジネスで見られるファーストフォロワーの力
ビジネスの現場でも、ファーストフォロワーの存在が成功の分かれ目になることは少なくありません。たとえば、ある企業で営業組織のSFAツールを切り替えるプロジェクトが立ち上がった際、多くのメンバーが「面倒そう」「失敗するかも」と懐疑的な中で、1人のベテラン社員が率先して使い始め、「この機能、かなり使える」と前向きな声を上げたことで、一気に現場へ浸透したケースがあります。
また、スタートアップにおいては、創業者だけでなく最初の数人の仲間(=共同創業者や初期メンバー)が、その会社の文化や信頼性を築き上げます。彼らが早い段階で明確な意思を持ち、行動することが、社外の投資家や顧客を巻き込む原動力になるのです。
ムーブメントを起こすための3つのステップ
では、どうすればムーブメントを起こすことができるのでしょうか。ファーストフォロワー理論を実践するための3つのステップを紹介します。
1. 最初に立ち上がる「小さな行動」をつくる
まずは誰かが明確なアクションを取ること。大きな改革である必要はありません。「小さな一歩」を見せることで、他の人の動機づけになります。
2. 共感できる仲間(ファーストフォロワー)を得る
「賛同しやすい空気」をつくることが重要です。何のために行うのか、どんなメリットがあるのかを、シンプルに伝えましょう。ここでは熱意以上に、“共感のハードルを下げる工夫”が求められます。
3. フォロワーの価値を認め、称賛する
「最初に加わってくれた人こそ価値がある」というメッセージを明示しましょう。これは単なるお礼ではなく、「このムーブメントには意味がある」と周囲に伝える行為でもあります。
ファーストフォロワーを生む組織づくりとは?
ムーブメントを継続的に生み出すには、ファーストフォロワーが生まれやすい組織文化の構築が重要です。
- 失敗を恐れずに行動できる文化
- 初期の挑戦者を評価・支援する仕組み
- 上下関係よりも共創を重視するマネジメント
こうした環境が整っていれば、リーダーのアクションに共感する人が自然と現れ、変化が“組織の自然な流れ”として受け入れられるようになります。
逆に、「上がやれと言ったから」「周囲の様子を見てから判断する」といった空気が支配的な組織では、どれだけリーダーが声を上げても、フォロワーが現れるのは難しくなります。これからの時代に求められるのは、「先頭に立つ力」だけでなく、「最初に支える勇気」を育てる組織設計なのかもしれません。
まとめ
ファーストフォロワー理論は、ムーブメントを生み出すのはリーダーではなく「最初に共感し行動するフォロワー」であることを教えてくれます。組織やチームで変化を起こすには、共感を呼び、仲間を巻き込む設計が不可欠です。まずは小さな行動から始め、共に動く最初の一人をどう生み出すか。この視点こそが、今求められるリーダーシップの形だといえるでしょう。
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