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人材業界からサッカークラブのCEOへ――スポーツビジネスの“現場”に飛び込んで見えたもの

一度はスポーツにかかわる仕事がしたい――BizDevに携わるビジネスパーソンであれば、そんな想いを持つ方も少なくはないでしょう。

今回のインタビューでは、東京都江戸川区を拠点に関東リーグ1部で戦う「東京23FC」を運営する株式会社TOKYO23の代表取締役社長CEO、石井 温(いしい あつし)さんにお話を伺いました。なぜスポーツビジネスに関心を抱き、実際にキャリアの軸を移すに至ったのか。そして、経営者として“地域密着型クラブ”を率いる中で見えてきた、スポーツビジネスのリアルとは。

その背景や思い、実際のプロセス、そして新たな気づきについて、じっくりと語っていただきました。

目次

アスリートの生涯価値を上げたい

学生時代からバスケットボールに打ち込んできた石井さんは、大学時代も複数のバスケットボールチームに所属して活動していました。そんな中での出会いが、スポーツビジネスを志すきっかけになったと言います。

大学時代に所属していたバスケットボールチームでは、よくbjリーグ(現・Bリーグ)の選手がいるチームとも対戦することもありました。彼らのプレーにはいつも圧倒され、プロ選手の凄さを肌で感じていました。

一方で、実際に話を聞いてみると、給与面では決して恵まれているとは言えず、むしろ一般的な会社員よりも低いケースもあること、さらには引退後の就職に苦労することも少なくない現実を知りました。

そうした状況を目の当たりにしたことで、「アスリートの価値を引き上げるような仕事がしたい」という思いが芽生えるようになりました。

こうした経験を通してスポーツビジネスへの関心を深めた石井さんが、ファーストキャリアとして選んだのは、クリエイティブ領域に特化した人材派遣・人材紹介事業などを展開するクリーク・アンド・リバー社でした。

就職活動のときには、スポーツに関連する事業を手がける会社も探してみたのですが、当時は選択肢がほとんどなくて。

そこで、アスリートとは異なるものの、同じように専門性の高い職種領域でキャリア支援を行っているクリーク・アンド・リバーに魅力を感じ、入社を決めました。

まずはそこで実力をつけて結果を出してから、そのうえでいつかスポーツビジネスに挑戦しようと考えたんです。

スポーツビジネスの“現場”に飛び込む

入社後、クリーク・アンド・リバー社ではまず、Web領域のエージェントとして人材派遣・人材紹介の法人営業、就業スタッフのマネジメントやキャリアアドバイザーとしての業務を経験。その後はコンテンツ制作のプロジェクト体制の構築からアウトソーシング事業に携わり、営業職からマネージャー、さらに事業責任者へとステップアップしていきました。

こうして人材業界における複数の事業領域とマネジメントの経験を積む中で、石井さんは着実にビジネスパーソンとしての土台を築いていきます。

クリーク・アンド・リバー社では約10年にわたり、クリエイティブ領域における人材や制作事業に携わる中で、人材やコンテンツビジネスの知見と組織マネジメントの経験をしっかりと積むことができました。

そのなかで「次はスポーツビジネスに挑戦したい」という思いがより強くなり、自らアスリートのキャリア支援事業の企画を社長に何度も提案し、実際に事業化まで持っていくことができました。

こうして、かねてからの夢だったスポーツビジネスへの足がかりをつかんだ石井さん。

クリーク・アンド・リバー社内での新規事業起案を経て、現在のTOKYO23代表取締役社長CEOに至るまで――その道のりは、どのようなものだったのでしょうか。

新規事業を始めて1年ほど経ったある日、ふとしたご縁から「東京23FC」への出向の相談がありました。

ちょうど私自身も、アスリートのキャリア支援に取り組む中で、「選手たちが実際に活動している“現場”にこそ、自分の軸足を置くべきではないか」と感じていたタイミングでもありました。 そのお話を受けたとき、成長できるチャレンジだと直感し、現場に入ることを決意しました。「悩むなら難しいと思う方へ行こう」そう思ったんです。

そして、2021年からTOKYO23へ出向することとなりました。

知名度がないサッカークラブが100社のスポンサーを獲得

TOKYO23には、選手の育成やマネジメントを担う「強化部門」と、クラブの経営・運営を担う「事業部門」があり、石井さんはまず事業部門の責任者としてクラブに加わりました。

クラブ経営を改善するためには、まず何よりも原資となる売上を増やさなければなりません。その中心となるのがスポンサー収入ですが、東京23FCは地域リーグ所属のクラブで、Jリーグのクラブのように一般的な知名度があるわけではありません。

スポンサーとして参画していただいても、Jリーグのクラブのようにそれに見合うだけの露出効果をお返しできる状況ではなくて。だからこそ、スポンサー企業への付加価値をどう感じてもらう必要がありました。ここは本当に苦労した部分です。

着任したばかりの頃は、とにかく地域を知ることから始めました。自転車で江戸川区を3周くらい回って、どんな人が暮らしていて、どんな企業やお店があるのかをひたすらリサーチしました。

行動し、直接対話を重ねる中で、東京23FCというクラブが地域に対してどんな価値を提供できるのか。その輪郭が、少しずつ自分の中でも見えてくるようになりました。たとえば、スポーツを活用した地域でのにぎわい作り、サッカー観戦を通して従業員のエンゲージメント向上や採用広報としてご活用いただく、などのように、単なる広告媒体としてではない価値を生み出していきました。

そうした気づきを一つひとつ言語化し、企業ごとに合わせた具体的な提案へと落とし込んでいく――。この試行錯誤のプロセスを粘り強く繰り返すことで、少しずつではありますが、スポンサー企業の共感と協力を得られるようになっていきました。

地道な活動を積み重ね、地域企業との関係を少しずつ築いていった石井さん。

着任当初は30社にも満たなかったスポンサー数は、現在では100社を超える規模にまで拡大。クラブの売上も、わずか数年で3倍以上に成長するなど、確かな成果を生み出しています。

そして、2025年にはクリーク・アンド・リバー社を正式に退職し、TOKYO23の代表取締役社長CEOに就任しました。

アスリートの生涯価値向上のためには、スポーツビジネス市場そのものの拡大が不可欠

東京23FCの練習風景(江戸川区臨海球技場にて、月刊タレンタル編集部撮影)

大学時代に思い描いていたスポーツビジネスへの挑戦を、実際に形にしてきた石井さん。そんな彼は、今の立場から当時の想いをどう振り返り、現在のスポーツビジネスの可能性や課題をどう捉えているのでしょうか。

今やっている仕事は、学生時代に「やりたい」と思っていたことの、まだ2割程度かもしれません。でも、実際に現場に飛び込んでみて、アスリートの生涯価値を高めるためには、個人へのキャリア支援だけでなく、そのスポーツ自体の市場を広げることが不可欠だと、改めて実感するようになりました。

スポーツの市場が拡大することで、クラブ運営に必要な資金が集まり、選手にもそれに見合った報酬を提供できるようになる。アスリートとしての価値が高まれば、引退後のセカンドキャリアも自然と充実していく。そんな好循環を、地道にでも着実に実現していくことこそが本質的に大事なのだと、現場に入って初めて気づくことができました。

地域の子どもたちが東京23FCのユニフォームを着るように

最後に、石井さんがこの東京23FCというクラブの経営を通じて、どのような未来を実現したいと考えているのか。そのゴールについて伺いました。

サッカークラブの経営に携わるようになってから、これまでのキャリアではあまり意識してこなかった「地域との関わり」を強く意識するようになりました。たとえば、地域の企業で働く会社員や経営者の方々、各種団体、学校の先生やPTAの方々など、さまざまな立場の方と日々対話を重ねています。

東京は「地域性が薄い」と言われることもありますが、江戸川区はむしろ地域性がとても強く、地元愛にあふれた方が多いんです。そうした方々と一緒に、江戸川区を盛り上げていく取り組みができたら本当にうれしいです。

いつか、地域の子どもたちが東京23FCのユニフォームやTシャツを着て、近所の公園でサッカーを楽しんでいる――そんな風景が当たり前になったら、最高ですね。

取材対象者プロフィール

石井 温(いしい あつし)
株式会社TOKYO23 代表取締役社長CEO

早稲田大学を卒業後、2006年にクリーク・アンド・リバー社へ新卒入社。クリエイティブ領域における人材派遣・人材紹介のエージェントとして法人営業やキャリアアドバイザー業務を経験した後、Webサイトやコンテンツ制作の受託・アウトソーシング事業において営業、プロジェクトマネジメント、さらには事業責任者として幅広く従事。2020年には、同社内でアスリートのキャリア支援を目的とした新規事業を自ら企画・立ち上げ、事業化。2021年4月より株式会社TOKYO23に出向し、2025年1月より代表取締役社長CEOに就任。鹿島アントラーズとグロービスによるスポーツビジネスプログラム「Antlers Business College」1期生。

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