

ASMR(Autonomous Sensory Meridian Response)は、YouTubeやTikTokで一大ジャンルとして注目されているコンテンツ形式です。単なる癒し動画にとどまらず、マーケティングや商品プロモーションにも活用されはじめており、今や無視できない存在となっています。この記事では、ASMRの基本的な仕組みから、ビジネス活用の可能性、注目の事例までを解説します。
ASMRとは「自律感覚絶頂反応」と訳され、特定の音や視覚的刺激によって得られる心地よい感覚のことを指します。人によって感じ方に差はありますが、多くの場合「頭がゾワゾワするような感覚」や「深いリラックス状態」を引き起こします。これは、脳が快刺激として認識し、副交感神経が優位になるためと考えられています。一般的には囁き声や規則的な音、繰り返しの動作がトリガーとなりますが、視覚刺激によるものもあり、ASMRは五感に訴える新しい表現手法といえます。
ASMRコンテンツはその多様性が魅力です。代表的なものとしては、以下のようなジャンルがあります。まず「ウィスパーボイス(囁き声)」は定番で、人の声が近くで聞こえることで安心感を与えます。「タッピング」や「スクラッチング」は物を指で叩いたり擦ったりする音で、リズミカルな刺激が人気です。また、「咀嚼音」や「料理音」などのフードASMRも人気ジャンルの一つです。これらの動画は、高音質なマイクとヘッドフォンによって、その没入感が一層高まります。視覚的な要素を組み合わせることで、癒し効果をさらに高める工夫もされています。
ASMRの人気が高まった背景には、社会の変化と人々のライフスタイルの変化があります。特にパンデミック以降、リモートワークや在宅時間の増加により、ストレスや不安を抱える人が増えました。こうした背景から、リラックスや癒しを求める需要が拡大し、ASMRコンテンツが急速に拡散されました。また、スマートフォンと高性能イヤホンの普及もASMRの体験性を大きく向上させました。さらに、ショート動画やライブ配信といった形式と親和性が高く、SNSを通じて爆発的に拡がる仕組みが整っていることも要因の一つです。
ASMRはその独自性と高い没入感から、企業のマーケティングにも活用されるようになっています。たとえば、化粧品ブランドがスキンケア音をASMR化した動画を配信し、商品の質感や使用感を五感で訴求するケースがあります。また、飲料メーカーが炭酸の開封音や注ぐ音をASMRで表現するなど、プロダクト体験の拡張としてASMRが活用されています。さらに、ラグジュアリーブランドでは、包装紙を開ける音やレザーをなでる音を取り入れ、ブランドの世界観を強化しています。このように、ASMRは「静かなエンタメ」でありながら、ブランド価値を高める有効な手段となっているのです。
BizDev領域においても、ASMRの活用は十分に検討に値します。たとえば、自社プロダクトの体験を音として伝えることで、競合との差別化が可能になります。また、採用広報やカルチャー発信として、オフィスの環境音や社員の自然な会話をASMR的に編集することで、企業の「人となり」を伝える新たな手段となります。さらに、ASMRのクリエイターとコラボすることで、Z世代やミレニアル世代へのリーチを図るなど、ターゲットマーケティングにも活用可能です。重要なのは「体験価値を音で届ける」という発想であり、今後の音声コンテンツ戦略において重要な一手となるでしょう。
ASMRは単なる癒しのコンテンツにとどまらず、ビジネスにも応用可能な体験型メディアとして注目されています。音や感覚を通じて深い没入体験を提供するこの形式は、プロダクトやブランドの価値をよりリアルに伝える手段として活用が進んでいます。BizDevの視点からも、ASMRの持つ可能性を捉え、戦略的に取り入れることで新しい顧客接点を創出することができるでしょう。
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