

「営業/プロジェクトマネージャー」「人事/起業準備中」──ひとつの肩書きに縛られず、複数の役割を持つ「スラッシュキャリア」という働き方が注目されています。変化の激しい時代において、多様な経験を持つことは事業の構想力・仮説力・巻き込み力に直結し、企業内で新たな価値を生む起点となります。本記事では、スラッシュキャリアの定義から事業開発との接点、実践メリット、リアルな事例、キャリア設計のポイントまで、実務に直結する形で詳しく解説します。
まずは「スラッシュキャリア」の基本的な考え方と、それが求められる時代背景について整理しておきましょう。
スラッシュキャリアとは、複数の職能やプロジェクトに同時に関わることで、キャリアの軸を多層的に構築していく働き方です。単なる副業とは異なり、それぞれの役割で「実行責任と成果」を持ち、仕事の文脈を自ら設計している点が特徴です。
この背景には、キャリアの寿命が延びる中で単一スキルでは戦えない構造変化があるほか、組織の外でも価値を出せる越境力や、変化に即応するレジリエンスの重要性が高まっていることがあります。
スラッシュキャリアとは、単に“複数の仕事をする”のではなく、「多角的に物事を見る視座」を育て、「組織内外で通用する言語感覚」を磨く実践でもあるのです。
ここでは、スラッシュキャリア人材が持つ複数領域の経験が、なぜ事業開発領域で強く求められるのかを紐解いていきます。
事業開発の核心とは、「正解のないテーマに対して、最適な仮説と実行をデザインする力」です。スラッシュキャリアを実践している人材は、複数の業界・職種・文化にまたがる経験を通じて、以下のような力を養っています。
これらは単なるスキルの寄せ集めではなく、事業を前進させる「構造的な強み」なのです。
続いては、スラッシュキャリアの持つ具体的なメリットを「資産」という観点で整理してみましょう。
観点 | メリット | 説明 |
---|---|---|
知的資産 | 知識・経験のレイヤーが増える | 異業種・異職種の経験が知見を厚くし、仮説構築の幅が広がる |
実行資産 | 多様な現場での推進力 | 時間や人手が限られる中で成果を出す経験が、実務適応力を高める |
関係資産 | 社内外のネットワーク拡大 | 外部との接点が新たな事業機会の発見や協働の糸口を生む |
このように、スラッシュキャリアは“複層的なキャリア資本”を育む仕組みであり、時間をかけてリターンが大きくなる「複利的な投資」として捉えることができます。
実際にスラッシュキャリアを実践しているビジネスパーソンが、どのように本業の事業開発に成果を還元しているのか。ここでは2つの実例を紹介します。
共通して言えるのは、「別文脈で得た経験が、本業の成果へとつながっている」点です。スラッシュキャリアが意味を持つのは、この“相互フィードバック構造”を設計できているからなのです。
最後に、スラッシュキャリアを単なる「多忙な働き方」に終わらせず、実のある成長戦略に昇華させるための設計ポイントを紹介します。
これらを意識的に行うことで、スラッシュキャリアは「個人の成長と組織の成果を接続するビジネス装置」として機能し始めます。
スラッシュキャリアは、事業開発に必要な構想力・実行力・関係構築力を実践的に鍛えるキャリア戦略です。複数の役割を通じて、自分の視座を高め、課題を複眼的に捉え、組織の内外に価値を還元できる人材になることができます。変化と複雑性が当たり前の時代において、あなたの次の事業を動かす力は、すでに複数のキャリア軸の中にあるかもしれません。
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