

「マーケティングが獲得したリードが、営業にうまく繋がらない…」「営業が苦労して契約した顧客が、カスタマーサポート(CS)に引き継いだ途端、不満を抱えてしまう…」こうした課題は、多くの企業が抱えているのではないでしょうか。それぞれが自身の目標を追い求めるあまり、連携がうまくいかず、まるで「縦割り組織」のようになってしまうことが少なくありません。この問題を根本から解決する新たな経営戦略が、今注目を集めるレベニュー・オペレーションズ(RevOps)です。レベニュー・オペレーションズは、これらの部門を統合し、データに基づいたシームレスな連携を実現することで、収益の最大化を目指します。
本記事では、なぜ部門間の連携がうまくいかないのか、その根本原因を深掘りし、レベニュー・オペレーションズがその壁をどう壊すのかを解説します。具体的な導入ステップや成功事例を通じて、あなたの組織がどう変わるべきか、そのヒントをお伝えします。
レベニュー・オペレーションズを理解するまえに、なぜこれらの部門が連携できないのか、その原因を明確にしておきましょう。主に以下の3つのような原因が考えられます。
最大の原因のひとつは、部門ごとに異なる目標と評価指標が設定されていることです。
それぞれの部門は自身の目標を達成するために動くため、時には他の部門の目標と相反する行動をとることもあります。たとえば、マーケティングが量だけを重視したリードを獲得しても、それが営業にとって質の低いリードであれば、商談に繋がらず、営業効率は低下してしまうでしょう。
各部門が別々のツールやデータベースを使用していることも、連携を阻む大きな壁です。マーケティングはMA(マーケティングオートメーション)、営業はSFA(営業支援システム)、CSはCRM(顧客管理システム)やカスタマーサポートツールなど、それぞれが異なるシステムで情報を管理しています。そのため、顧客がどの段階にいるのか、どのような課題を抱えているのかといった情報が、部門をまたいでリアルタイムに共有されません。これにより、顧客に一貫した体験を提供することが難しくなります。
顧客がサービスと出会ってから、契約し、利用を続けるまでの過程は、本来ひとつの流れであるべきです。しかし、部門ごとにプロセスが分断されていると、顧客体験に「つなぎ目」が生じてしまいます。顧客は、部門が変わるたびに同じ話を何度も繰り返すことになり、不満を募らせます。このサイロ化された状態では、顧客データを活用したより高度な事業戦略を立てることも困難です。
レベニュー・オペレーションズは、これらの課題を解決するために、営業、マーケティング、カスタマーサポートを統合し、収益に関わるすべての活動をひとつの部門として管理するという考え方です。これにより、部門の壁を壊し、以下のような仕組みを構築します。
レベニュー・オペレーションズでは、各部門の個別目標ではなく、「企業の収益成長」という共通目標を最優先に据えます。そして、その共通目標を達成するための「売上」や「顧客生涯価値(LTV)」といった単一の評価指標を共有します。これにより、部門間の利害対立が解消され、全員が同じ方向を向いて行動するようになるのです。マーケティングは「営業が成約しやすい質の高いリード」を追い求め、CSは「解約を防ぎ、LTVを向上させるためのサポート」を提供するといった、協調的な行動が生まれます。
レベニュー・オペレーションズの導入には、各部門が使用していたツールやデータを統合し、一元管理する仕組みが不可欠です。たとえば、ひとつのCRMツールを核として、そこにマーケティング、営業、CSのすべての顧客データを集約します。これにより、誰がどの顧客とどのようなやり取りをしてきたのかがリアルタイムに可視化されるでしょう。顧客の行動履歴や問い合わせ内容、契約状況などが部門を横断して共有されるため、各担当者は常に顧客の全体像を把握し、一貫したサービスを提供できるようになります。
レベニュー・オペレーションズは、顧客の行動を起点とした一連のシームレスなプロセスを構築します。マーケティングが顧客を認知し、営業が契約に至り、CSが長期的な関係を築くという流れを、ひとつのプロセスとして設計し直すのです。このプロセスの中では、部門の引き継ぎがスムーズに行われるようにルールを統一し、顧客にストレスを与えない仕組みを構築します。これにより、顧客体験の向上と、部門間の連携強化を同時に実現できます。
レベニュー・オペレーションズの導入は、組織全体に関わるものになるので、一気にすべてを変えるのではなく、段階的に進めることが成功の鍵となります。
はじめに、営業・マーケティング・CSの各部門から代表者を集め、現在の連携における課題を徹底的に洗い出します。そのうえで、「なぜレベニュー・オペレーションズを導入するのか」という共通のビジョンと目標(例:今後3年間で売上を〇〇%アップさせる)を策定しましょう。このビジョンを全社に浸透させることで、変革への抵抗を減らすことができます。
次に、各部門が使用しているデータを統合するための仕組みを構築します。既存のCRMを中心に据えるか、新しい統合型プラットフォームを導入するか検討しましょう。この際、単にツールを導入するだけでなく、顧客データや売上データを一元管理するためのルール(データ入力の標準化など)もあわせて整備することが重要です。
最初から大規模なプロジェクトを立ち上げるのではなく、特定の顧客セグメントや製品に限定して、レベニュー・オペレーションズの仕組みを試験的に導入します。小さな成功体験を積み重ねることで、変革の効果を全社に示し、部門間の協調性を高めていくのです。このプロセスを通じて、データに基づいた意思決定を尊重する文化や、部門横断的なコミュニケーションを促進する文化を醸成していくことが、レベニュー・オペレーションズの定着には不可欠です。
本記事では、営業、マーケティング、カスタマーサポートの部門間の壁を壊すための戦略であるレベニュー・オペレーションズについて解説しました。部門間の目標不一致、情報の分断、プロセスのサイロ化といった根本原因を解決するために、レベニュー・オペレーションズは、共通の目標設定、データの統合管理、シームレスな顧客プロセスの構築を目指します。この戦略を導入することで、企業は顧客に一貫した体験を提供できるようになり、収益を最大化させることができるでしょう。
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