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IPA「DX動向2024」を読み解き、各社のDXの取組状況を知ろう

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2024年2月から5月にかけて、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施した調査「DX動向2024」が公表されました。本記事では、この最新の調査結果を基に、日本企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)への取組状況とその成果、さらに技術利活用や人材確保の現状と課題について詳しく解説します。DXを推進する上での各社の取組やその成果、及び課題を大局的に理解し、自社のDX推進に役立てましょう。

出典及び参考資料

日本企業のDXへの取組とその成果

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7割超の企業がDXへの取組を実施

IPAの「DX動向2024」では、日本企業のDX取組が年々増加していることが示されています。特に「全社戦略に基づき、全社的にDXに取組んでいる」企業の割合は2023年度で37.5%と、2022年度の26.9%から大きく伸びています。「一部の部門においてDXに取組んでいる」「部署ごとに個別でDXに取組んでいる」も合わせると73.7%になり、着実にDXが日本企業においても重要視され、浸透しつつあることがわかります。

従業員規模の多い大企業ほどDXへの取組に積極的、中小企業が取り組まない理由は「知識や情報が不足」

調査によると、大企業ほどDX取組が進んでいる傾向があります。従業員規模が1,001人以上の企業では、64.3%が「全社戦略に基づき、全社的にDXに取組んでいる」と回答しており、業種別にみると、金融業・保険業においてその割合が高く、次いで製造業となっています。

一方、従業員100人以下の企業では同割合が14.3%と低くなっており、業種別ではサービス業がもっとも低くなっています。また、「DX に取組まない理由(従業員規模別)」では、従業員100人以下の中小企業では「DXに取組むための知識や情報が不足している」が59.0%ともっとも高くなりました。

6割超の企業が、DXへの取組に対する成果を実感

先の設問で「全社戦略に基づき、全社的にDX に取組んでいる」「全社戦略に基づき、一部の部門においてDX に取組んでいる」「部署ごとに個別でDX に取組んでいる」と回答した企業を対象に、設定した目的に対して成果が出ているかを確認したところ、「成果が出ている」の割合は64.3%となっており、米国の89.0%とは差があるものの、徐々にその成果も実感されていることがわかります。

DXを推進するCDOの在籍有無は米国と大きな差

その一方で、DXを推進するCDO(Chief Digital Officer、最高デジタル責任者)の在籍有無は、米国では2022年度時点で6割を超えているのに対し、日本では先述の設問で「成果が出ている」とした企業でも22.3%と、まだまだ一般的にはなっていないことがわかります。

DXの成果把握のための評価についても、CDOの有無によって評価の実施状況には差があることからも、各社がDXを推進し、成果につなげていくためには、知見や技術を有するCDOが在籍していることが重要になってくるかもしれません。

DX実現に向けた技術利活用の状況

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DXの成果が出るかどうかは、データの利活用にある

DXを推進するためには、データ、AI、生成AIの利活用が不可欠です。本調査によると、データの利活用が進んでいる企業ほど、DXの成果が顕著に出ていることがわかります。DXの成果が出ている企業では、「全社で利活用している」「事業部門・部署ごとに利活用している」の回答が合わせて7割を超えているのに対し、成果が出ていない企業ではその割合は4割未満となっています。

成果を出している企業は、新たな価値創出にデータを利活用している

データの利活用目的は、成果が出ている企業も出ていない企業も「バックオフィスの業務効率化」「生産性向上」の2つがもっとも高くなっています。ただし、成果が出ている企業と出ていない企業で差がついているのは「既存製品・サービスの高度化、付加価値向上」「新製品・新サービスの創出」「集客効果の向上」の3つとなっており、成果を出している企業ほど、新たな価値創出にデータを利活用していることがわかります。

課題は「人材の確保」

データ整備・管理・流通の課題を聞いたところ、もっとも高かったのが「人材の確保が難しい」というもので、2022年度の45.5%から2023年度は57.5%へさらに上昇しており、人材不足が顕著であることがわかります。

AIの利活用状況、生成AIの導入状況

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日本企業のAI導入状況は19.2%、米国とも依然大きな差

2023年度の日本企業におけるAI導入については、「導入している」の回答割合が19.2%と、米国2022年度時点の40.4%と比較しても大きな差があることがわかります。しかし、「導入している」「現在実証実験を行っている」の合計でみれば2022年度が31.3%に対して2023年度は34.0%と、緩やかながらも増加傾向にあります。

AI導入における課題もやはり人材の不足

先述のDX推進における課題と同様に、AI導入についてもやはり人材不足がもっとも大きな課題であることが本調査からわかります。AIの導入課題についての調査に対して、2023年度の日本企業においては「AIに関連する人材が不足している」が62.4%と他の課題と比べても非常に高く、しかも2022年度の49.7%からさらに上昇しており、この課題の大きさがわかります。

生成AIの導入状況は15.6%、大企業ほど生成AI導入が進む

続いて生成AIの導入状況についても見ていきましょう。日本企業全体では「導入している」が15.6%、「導入している」「現在、試験利用をしている」の2つを合わせると35.4%となりました。しかし、これを従業員規模で区分すると、1,001人以上の大企業では71.7%となっているのに対し、100人以下の中小企業では13.4%と極めて差が大きくなっており、生産性向上に課題がある中小企業ほど導入が進んでいないことがわかります。

DXを推進する人材

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ここまで見てきたように、DXを推進し成果に結びつけるために必要なデータの利活用とAI及び生成AIの導入において、もっとも大きなボトルネックとなっているのが人材の確保にあるといえます。ここから、この人材に関する状況を詳しく見ていきましょう。

日本国内においては、人材の「量」も「質」もまったく足りていない

本調査では、人材の「量」と「質」の2つの側面から、その過不足についての調査を行っています。「量」の観点では、「やや不足している」「大幅に不足している」の合計が85.7%となっており、「質」の観点でも同指標が85.5%となっており、いずれも8割を超える極めて高い数字となっています。

足りていないのは、「ビジネスアーキテクト」が圧倒的、次いで「データサイエンティスト」「サイバーセキュリティ」

では、具体的にどのような職種・スキルの人材が不足しているのでしょうか。本調査では、デジタルスキル標準に基づく人材類型別にもっとも不足している人材を調査しており、その結果は以下のようになっています。

順位人材類型回答割合
1位ビジネスアーキテクト41.9%
2位データサイエンティスト19.1%
3位サイバーセキュリティ14.0%
4位ソフトウェアエンジニア12.2%
5位デザイナー5.2%
表:本調査をもとにBizDevキャリア編集部作成

人材確保に向けた課題は、スキルレベルの定義と魅力的な処遇の提供

DX を推進する人材を獲得・確保するにあたっての課題としては、「戦略上必要なスキルやそのレベルが定義できていない」「魅力的な処遇が提示できない」の回答が上位2つとなっており、人材要件の明確化と処遇という人事制度上の課題感が強いことがわかります。

米国に関する同調査と比較しても「魅力的な処遇が提示できない」という課題については特に差が顕著で、日米の雇用慣行の違いによる難しさも浮き彫りになっています。

人材確保はできないが、育成にかける予算が変わらない現実

上記のように人材不足の課題が非常に強く、そのための人材確保においてもスキルレベルの定義と処遇において課題感がありながらも、一方で人材育成にかける予算が変わらないという現実も同時に見て取れます。

人材育成予算についての調査結果としては、「変わらない」が48.2%と約半数となっており、育成にかける予算がかけられない難しさも見えてきました。

DX推進のための企業文化・風土

企業文化・風土の醸成もDX推進には不可欠です。調査結果によれば、DX推進のための企業文化が醸成されている企業ほど、DXの成果が出やすいという傾向が見られます。企業文化の差が成果に影響を与えていることが示されています。

まとめ

point

IPAの「DX動向2024」調査結果を通じて、日本企業のDX取組状況とその成果、技術利活用の現状、人材確保の課題などが明らかになりました。DXを成功させるためには、全社戦略に基づく取組や評価指標の明確化、適切な技術の利活用、そして専門的なスキルを持つ人材の確保と育成が不可欠です。企業がこれらの課題を克服し、DXを推進することで、さらなる競争力強化と新たな価値創造が期待されます。

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