
企業の成長エンジンとして、新規事業開発の重要性はますます高まっています。しかし、社内のリソースや制約を活用しながら、新たな価値を生み出すのは容易ではありません。「コーポレート・エクスプローラー」と呼ばれる企業内の事業開発リーダーは、まさにこの難題に挑む存在です。
では、実際に事業開発の最前線で活躍するコーポレート・エクスプローラーには、どのようなスキルが求められるのでしょうか?本記事では、成功するために必要な能力を深掘りし、さらにスキルを強化するための具体的なアクションプランを提示します。
コーポレート・エクスプローラーとは?事業開発における役割

スタートアップではなく「企業内起業家」
コーポレート・エクスプローラーは、社内にいながらスタートアップの起業家のように振る舞う存在です。ただし、以下のような点でスタートアップとは異なる難しさがあります。
スタートアップ | コーポレート・エクスプローラー |
---|---|
資金調達から自分で行う | 既存の社内リソースを活用 |
ゼロからチームを作る | 既存の組織を巻き込む必要がある |
意思決定が速い | 社内の承認プロセスを突破する必要がある |
このように、スタートアップ以上に「社内政治」や「組織の壁」と戦いながら新規事業を推進するスキルが求められます。
なぜ今、コーポレート・エクスプローラーにスキルが求められるのか?
企業内での新規事業開発がますます重要視される中、コーポレート・エクスプローラーには会社の成長戦略を担うキーパーソンとしてより高度なスキルが求められています。
1. 「遊休資産」の活用が必須に
多くの大企業は、技術・ブランド・データなどの強力な資産を持っていますが、それを活用できていません。コーポレート・エクスプローラーは、眠っている資産を発掘し、新たな事業に転用することが求められます。
2. 「プロジェクトリーダー」ではなく「事業責任者」へ
従来、新規事業は「プロジェクト」として運営されることが多かったですが、現在はより実践的な「事業」として推進されるケースが増えています。単なるリーダーではなく、PL(損益管理)を意識した責任者としての視点が必要です。
3. スタートアップと競争するためのアジリティ
Google、Amazonなどのビッグテック企業は、社内でスタートアップと同様の事業開発文化を作り上げています。日本企業も同じように迅速な仮説検証とピボット(方向転換)ができるスキルを持つ人材を求めています。
コーポレート・エクスプローラーに必要な5つのスキル
新規事業を成功させるためには、単に「アイデアを考える」だけでなく、事業として成立させる実行力が求められます。ここでは、特に重要な5つのスキルを解説します。
スキル1. 事業機会を発見する「アセットシンキング(資産活用思考)」
既存の技術、データ、ネットワークなどの強みを洗い出し、新規事業に応用する。
例:「A事業の顧客データを活用してB事業のリテンションを高める」
スキル2. 事業開発を推進する「インサイドセールス力」
社内で承認を得るための「社内営業力」が必要。 CFO、法務、マーケティング、営業などの各部署を巻き込み、味方を増やす。
例:「新規事業の収益シミュレーションを財務部と共同で作成する」
スキル3. 「非連続な成長」を実現するための仮説検証力
Lean Startupの手法を活用し、MVP(最小実行可能プロダクト)で市場検証を行う。
例:「まずは既存のLPと広告を活用し、サービスの関心度を測る」
スキル4. PL責任を持つ「事業マネジメント力」
予算管理、コストコントロール、利益構造の設計ができる。
例:「1年目のKPIをARR 5,000万円に設定し、チームを構築」
スキル5. デジタル技術とビジネスをつなげる「テックリテラシー」
AI、SaaS、ブロックチェーン、Web3などの技術動向を把握し、事業に活用できる。
例:「生成AIを活用した業務効率化SaaSのPoC(概念実証)を実施」
コーポレート・エクスプローラーとして成長するためのキャリア戦略
社内での事業開発経験は、将来的なキャリアパスにも大きく影響を与えます。コーポレート・エクスプローラーとして成長し、より大きな役割を担うための戦略を考えましょう。
戦略1:社内で新規事業を主導するポジションに移る
新規事業部門、DX推進部門などで経験を積む。
戦略2:スタートアップとの協業を増やす
CVC(コーポレート・ベンチャーキャピタル)などの投資業務にも関わる。
戦略3:将来的にはCxOを目指す
事業開発責任者として成功すれば、COOやCBO(Chief Business Officer)への道も開ける。
まとめ
コーポレート・エクスプローラーは、企業の未来を担う事業開発リーダーです。社内のアセットを活用しながら、新規事業を生み出し、スケールさせるスキルが求められます。本記事で紹介したスキルとアクションを実践し、事業開発の最前線で活躍しましょう。
BizDevとしてのスキルやノウハウを活かして働きたいみなさんへ
ご覧いただいている「BizDevキャリア」を運営するtalental(タレンタル)株式会社では、BizDev領域の即戦力人材レンタルサービス「talental」を提供しています。現在、副業・フリーランス人材のみなさんのご登録(タレント登録)を受け付けています。無料タレント登録はこちらから。これまで培ったスキルやノウハウを活かして、さまざまな企業のプロジェクトに参画してみませんか?