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国民的ロックバンド「Aqua Timez」での活動からスタートアップへ。未知の領域に挑戦するときに大切なこと

Aqua Timez――2006年に鮮烈なメジャーデビューを果たし、「決意の朝に」「千の夜をこえて」「虹」などのヒット曲を次々に生み出した、国民的ロックバンドです。2度の紅白出場を経て国内トップアーティストとしての地位を確立する中、2018年の解散は多くのファンに惜しまれました。

そして2024年7月、期間限定での再結成を発表し、大きな話題を呼んでいます。

そんなAqua Timezでドラマーとして活躍していたTASSHIこと田島さんは、実は2018年の解散後、2019年からHR系スタートアップのLiB(リブ)に入社。ビジネスパーソンとして新たなキャリアを歩んでいます。

ビジネス経験がほとんどない状態で、40歳を迎えるタイミングでスタートアップに飛び込んだ田島さん。これまでの歩みと、未知の領域に挑むために大切にしている価値観、そして再結成を果たした今の働き方について、さまざまな視点からお話を伺いました。

社会人経験ゼロの40歳がスタートアップへ

高知県の土佐高校に入学すると同時にバンドを結成し、プロのミュージシャンになることを夢見て、上京を目指して中央大学へ進学した田島さん。Aqua Timezに加入するまでの経緯を伺いました。

田島さん:

ミュージシャンとして活動することが夢だったので、当時のバンドメンバー全員で東京の大学を受験して、そろって入学しました。大学卒業後も、コールセンターでアルバイトをしながら楽曲制作を続けていたのですが、「このまま続けていっても、正直厳しいな」と、半ばあきらめかけていたんです。

そんな2006年ごろ、当時インディーズで人気が出はじめていたAqua Timezに、大学の先輩が在籍していたこともあり、ドラムとして加入することになりました。

ちょうどそのタイミングで、Aqua Timezはメジャーデビューを控えていて、非常に運が良かったと思います。メジャーデビューしたその年には紅白歌合戦にも出場することができ、本当に貴重な経験をさせてもらいました。

メジャーデビュー後も着実にヒット曲を発表し、音楽シーンで確かな存在感を築いていたAqua Timez。しかし、人気の絶頂にあった2018年、突然の解散が発表され、多くのファンに衝撃を与えました。

そんな中、当時40歳、社会人としての経験がまったくなかった田島さんは、HR系スタートアップであるLiB(リブ)でビジネスの世界に飛び込む決断をします。音楽一本で生きてきた田島さんが、なぜ新たな領域への挑戦を選んだのでしょうか。その背景を伺いました。

田島さん:

理由は大きく2つあります。ひとつは、ミュージシャンズ・ジストニアの症状が出て、ミュージシャンとして活動を続けていくのは難しいと判断したこと。もうひとつは、一度きりの人生だからこそ、音楽とはまったく異なる分野にも挑戦してみたいと思ったことです。

そんな想いを抱きながら、解散後のキャリアについて相談したうちのひとりが、高校時代の同級生・竹内くん(編集部注:ビズリーチで創業時からCTOを務めていた竹内真氏)でした。彼を通じて複数のスタートアップ経営者を紹介してもらい、その中で出会ったのが、LiB代表の松本だったのです。

ビジネスに“熱狂”する姿に、心を動かされた

知人の紹介で複数のスタートアップ経営者と会う中で、どの経営者も自身の事業に“熱狂”している姿に、強い感銘を受けたと田島さんはいいます。

田島さん:

音楽業界と同じように、ビジネスの世界にも、自分の事業やその事業が社会に与えるインパクトについて、こんなにも熱く語る人たちがいるんだと知り、大変感動しました。「自分も、こんなふうにビジネスに“熱狂”してみたい」と思ったんです。

なかでもLiB代表の松本は、熱い想いのある人で、“「生きる」をもっとポジティブに”という同社のビジョンは、まさに自分が大切にしたい考え方と重なっていました。その出会いが決め手となり、LiBへの入社を決意しました。

まったく言葉が通じない「違う国」

こうしてLiBに入社した田島さんは、まずインサイドセールスに従事することになります。中小企業やスタートアップの人事部門に、同社のサービスを知ってもらうため、毎日テレアポを重ねる日々。まったくの未経験からのチャレンジに、戸惑いはなかったのでしょうか。

田島さん:

コールセンターでのアルバイト経験があったのと、音楽活動でも機材まわりの知識は必要だったので、PC操作にはあまり不安はありませんでした。ただ、最初は使われる言葉がまったくわからなくて、本当に苦労しましたね。

「KPI」や「ロードマップ」、「クオーター」なんて、音楽の現場ではまったく聞かない言葉ですから(笑)。

印象に残っているのは、チームのミーティングで「次回は田島さんが“ファシリ”(ファシリテーター=進行役)をお願いしますね」と言われたときのこと。 僕、最初「パシリ」だと聞き間違えて、「お茶とか用意すればいいのかな?」って思ってたんです。まったく違いましたね(笑)。

まるで言葉の通じない別の国に来たような感覚で、ビジネスの世界に戸惑いながらも――田島さんはインサイドセールス、新卒採用担当、そして当時は新規事業だった、現在の基幹事業・逆求人型転職エージェント「LIBZ」の立ち上げなど、さまざまなポジションを経験していきます。

田島さん:

現在担当している「LIBZ」は、従来サービスのように「企業が出した求人に応募する」という企業主導の仕組みではありません。「こんな仕事がしたい」「こんな働き方がしたい」という希望を「逆求人」という形式にまとめて公開すると、それに応えられる企業だけがアプローチします。この転職者の希望条件が起点となるマッチングがLIBZならではの仕組みで、自分の希望を満たす意外な選択肢や、新たな可能性との出会いを実現しています。つまり、「転職者ファースト」な体験を徹底的に追求しているのが特長です。

自分自身もAqua Timezの解散後、さまざまな経営者との出会いを通じて、納得のいく仕事と出会うことができました。だからこそ、求職者一人ひとりの思いや要望に、できるだけ丁寧に寄り添った支援を心がけています。

未知の領域へ飛び込むための3つの心がけ

社会人経験ゼロの状態からスタートアップに転職し、いまも第一線で活躍を続ける田島さん。そんな田島さんが、未知の領域に飛び込むときに大切にしている心がけとは、一体どのようなものだったのでしょうか。

田島さん:

大切にしていたことは、3つあります。

ひとつめは、とにかく素直で柔軟でいること。音楽業界では、ある程度のポジションやキャリアを築けたかもしれませんが、ビジネスの世界では完全な素人です。自分よりずっと若いメンバーとチームで仕事をする場面も多いため、どんな意見やアドバイスも素直に受け止めて吸収する姿勢が欠かせません。あわせて、周囲が意見を言いやすくなるようなコミュニケーションを心がけていました。

ふたつめは、未知の分野に飛び込む中で、業界知識をいかに早く吸収していくかということです。日々学んだことをチームの朝会で共有していたのですが、あるとき上司から「せっかくだから、全社向けに発信してみたら?」と提案され、「たっしー通信」という社内向けの情報発信をはじめました。

これは、Slackで毎朝、学んだことやそれに対する自分の考察を発信するという取り組みで、入社後は長く継続していました。この習慣を通じて、さまざまな知識を自分の中に定着させることができたと思います。

そして3つめは、「結論ファーストで話す」こと。音楽の世界では、そこまで端的な伝え方を求められる場面は少なかったのですが、ビジネスの世界ではテキストでのやり取りも多く、非常に重要なスキルだと実感しました。

この点については、ほとんど経験がなかったため、ビジネスコミュニケーションに関する書籍を片っ端から読んで、必死に学びました。再結成後にAqua Timezの新曲についてミーティングしていた際も、その癖が抜けず、端的に話しすぎて逆に困ったこともありましたね(笑)。

ふたつの世界を行き来するのが楽しい

2024年7月に発表したAqua Timezの再結成は、自分たちの想像をはるかに超える大きな反響を呼びました。当初はもう少し落ち着いたペースを想定していたものの、気づけば予想以上に多忙な日々に。田島さんは「まさかこんなに反響があるとは……」と、苦笑いしながら振り返ります。

LiBでの仕事と音楽活動――ふたつの異なるフィールドで活動する田島さんは、いま、どのようにそのバランスを取っているのでしょうか。

田島さん:

LiBでは現在、週4日・フルリモートの正社員として働いています。SUMMER SONICに出演した際も、大阪のホテルで仕事をしていましたし、ほかのステージのときも楽屋でパソコンを開いていました。

そんなふうに、柔軟な働き方を受け入れてくれているのは、本当にありがたいですね。もちろん、セキュリティには厳しいので、それを厳密に守りながらですが。

もともとLiBは、時間や場所の制約があることでフルタイム勤務が難しい人でも、キャリアをあきらめずに働ける社会をつくりたいという想いからはじまった会社です。ですので、私だけが特別というわけではなく、フルリモート勤務や週4日勤務、時短勤務など、柔軟な働き方を選んでいるメンバーは他にもたくさんいます。

2025年いっぱいは、バンド活動が忙しくなりそうですが、それが落ち着いたら、また週5日勤務に戻すつもりです。LiBの社内でも、そして私が担当する「LIBZ」を通じて出会う求職者の方に対しても、こうした柔軟な働き方を提案・提供していくサポートができればと考えています。

とにかく今は、音楽とビジネスという異なるふたつの世界を行き来する毎日が、とても楽しいですね。

ポジティブに生きる人を増やしたい

最後に、今後ビジネスの世界で実現したいことについて、田島さんに伺いました。

田島さん:

LiBのビジョンにもあるとおり、「ポジティブに生きる人を増やしたい」というのは、私自身にとっても非常に大切なテーマです。

人生100年時代といわれる今、仕事に向き合う時間もどんどん長くなっています。人生において大きなウェイトを占める「働く」という行為が、苦痛に耐えるものではなく、もっと多くの人にとって前向きなものになるよう、支援していきたいと考えています。

「ポジティブに生きる」という姿勢は、実はAqua Timezの楽曲でもずっと大切にしてきたテーマでもあるんですよね。

田島さんが活躍するLiBでは、逆求人型転職エージェント「LIBZ」にて、“個人ファースト”な転職を支援されています。転職を通してご自身の理想の働き方を実現していきたい方は、ぜひご相談してみてはいかがでしょうか。

逆求人型転職エージェント「LIBZ

※図:LIBZ公式サイトより引用

また、LiB社でもさまざまなポジションで採用活動を実施しています。

LiB採用情報

取材対象者プロフィール

田島 智之(たしま ともゆき)
株式会社LiB(リブ) マッチング事業部

1978年、高知県生まれ。土佐中学校・高校を経て、中央大学へ進学。高校時代からバンド活動をはじめ、2005年にAqua Timezにドラマーとして加入し、メジャーデビューを果たす。2006年と2008年には、NHK紅白歌合戦に2度出場するなど、精力的に活動した。2018年のバンド解散後は、翌2019年にLiBへ入社。インサイドセールスや人事担当を経験したのち、同社の主力事業である逆求人型転職エージェント「LIBZ」の立ち上げに参画。現在はキャリアコンサルタントとして活躍している。

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