

FP&A(財務計画・分析)は、企業経営の意思決定を支える戦略的なファイナンス部門です。単なる予算管理や報告業務にとどまらず、事業成長を加速させるための分析と提言を担います。近年では、事業開発(BizDev)や経営企画と連携しながら、企業の中枢で活躍するポジションとして注目されています。本記事では、FP&Aの役割や求められるスキル、キャリアパスについて詳しく解説します。
FP&Aは「Financial Planning and Analysis」の略で、主に企業の予算策定、実績管理、財務分析を通じて、経営層の意思決定を支援する役割を担います。経理が過去の数値を記録・整理する「記録型」の業務にフォーカスしているのに対し、FP&Aは未来を見据えた「予測型」の業務が中心です。財務部門とも異なり、資金調達や財務戦略の立案を補完する立場として機能し、財務全体の健全性を維持するのが役目です。つまり、FP&Aは「ビジネスとファイナンスをつなぐ橋渡し役」と言えるでしょう。
FP&Aは単なるデータ分析屋ではありません。経営計画や新規事業の立案において、収益性の見積もりやシナリオ分析、KPIの設計などを担うことで、事業戦略の意思決定に直接貢献します。特にBizDev(事業開発)との連携が重要で、プロダクトの収支構造や投資リターンを評価する場面で協働することが増えています。例えば、新サービスをローンチする際には、初期投資額や損益分岐点、キャッシュフローへの影響などを事前にシミュレーションし、戦略の妥当性を数値で支える役割が求められます。これにより、事業成長の「ファイナンス観点からの実行可能性」を高めていくのです。
FP&Aには多面的なスキルが求められます。まず、ExcelやBIツールを用いたデータ分析スキルは必須です。加えて、PL(損益計算書)・BS(貸借対照表)・CF(キャッシュフロー計算書)に関する会計知識、そして予算策定や差異分析の実務経験も重要です。また、経営陣や事業部門と円滑にコミュニケーションを取るための「ビジネス理解力」と「説明力」も不可欠です。最近では、SQLやPythonなどのプログラミングスキルを活用してデータの可視化や自動化を行うFP&A人材も増えており、テックリテラシーの高さも強みになります。
FP&A職は、財務や経営企画へのステップアップを含めたキャリアパスが多様です。まずはアナリストとして実務経験を積み、次第にマネージャーやディレクターとしてチームを牽引する立場へ進む道があります。企業によっては、CFO候補として育成されるケースもあり、経営陣の一員として抜擢されることもあります。年収レンジとしては、若手で600万円〜800万円、中堅で800万円〜1,200万円、マネジメント層では1,500万円以上も見込めるなど、スキルと経験次第で大きく広がるのが魅力です。
FP&Aとしての価値を高めるためには、「数字からビジネスを語る力」を養うことが最重要です。実務では、単に分析結果を提示するだけでなく、それを踏まえたアクションプランや経営判断へのインパクトを提示できる力が求められます。そのためには、事業理解を深めることが大切です。現場との対話を通じてKPIの背景を知り、仮説思考を持って数値を分析する習慣を持つことが成長につながります。また、業務の自動化や効率化を提案できるよう、ツール活用のスキルも常にアップデートしておくことをおすすめします。
本記事では、FP&Aの基本的な役割から、他部門との違い、BizDevとの連携、求められるスキルやキャリアパスについて解説しました。FP&Aは企業の成長戦略を支える中枢的な存在であり、ビジネスとファイナンスをつなぐ重要な役割を果たします。今後、より戦略性とテクノロジー活用が求められる中で、キャリアとしての魅力はますます高まっています。
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