
新規事業の開発において、論理的思考(ロジカルシンキング)だけでは乗り越えられない壁にぶつかることがよくあります。そんなときに求められるのが、既存の枠組みにとらわれず新しい発想を生み出す「ラテラルシンキング」です。本記事では、新規事業におけるラテラルシンキングの重要性、具体的な活用方法を紹介し、あなたの事業開発に役立つヒントを提供します。
ラテラルシンキングとロジカルシンキングの違い
ラテラルシンキング(Lateral Thinking)は、エドワード・デボノによって提唱された思考法で、「水平思考」とも訳されます。従来の論理的思考(ロジカルシンキング)が直線的に物事を分析・判断するのに対し、ラテラルシンキングは「別の角度からアプローチする」「既存の常識を疑う」「意外な組み合わせを生み出す」といった特徴を持ちます。
ラテラルシンキング | ロジカルシンキング | |
---|---|---|
目的 | 革新的なアイデアや新しい視点を生み出す | 正しい答えを論理的に導き出す |
思考の進め方 | 既存の枠組みを疑い、複数の方向から発想する | 体系的に整理し、結論を導く |
適用シーン | 新規事業開発、マーケティング、問題解決 | 経営戦略、業務効率化、分析 |
たとえば、新しい飲料を開発する場合、ロジカルシンキングでは「市場のデータを分析し、トレンドに沿った商品を作る」と考えます。一方、ラテラルシンキングでは、「そもそも飲み物は液体であるべきか?」「飲む行為自体を変えられないか?」といった自由な発想から新たな商品コンセプトを生み出します。新規事業では、こうした視点の転換が競争優位性につながるのです。
なぜ新規事業にラテラルシンキングが必要なのか?
新規事業は「まだ存在しない価値を創る」ことが求められます。そのため、既存の市場分析や競合調査だけではイノベーションは生まれません。多くの企業が「PoC止まり(概念実証で終わる)」になってしまうのは、ロジカルシンキングに頼りすぎて、新しい発想が生まれないことが一因です。
たとえば、Airbnbは「ホテル市場のシェアを奪う」のではなく、「個人が自宅の空き部屋を貸し出す」という新たな発想を生み出しました。これは従来のホテル業界のロジックでは考えにくいアイデアですが、ラテラルシンキングを活用することで新しい市場が創出されたのです。新規事業を成功させるには、既存の業界の枠を超えた視点が不可欠なのです。
ラテラルシンキングを活用するための実践テクニック
ラテラルシンキングは特別な才能ではなく、意識的に鍛えられる思考法です。以下の3つの手法を試してみましょう。
逆転思考(リバースシンキング)
「普通なら○○する」という前提を逆に考える。
例:飲食店なら「料理を出す」のが当たり前→「料理を作らず、客が調理する体験を提供する(例:しゃぶしゃぶ・BBQレストラン)」
ランダムワード法
無関係な単語をランダムに選び、それをヒントにアイデアを広げる。
例:「AI × コンビニ」→「無人レジ」ではなく「AIが最適な買い物リストを提案するサービス」
SCAMPER法(置き換え・応用・修正などの7つの視点で考える)
例:「Uberの仕組みを医療に応用したら?」→「往診医をオンデマンドで呼べるサービス」
参考:既存事業に新たなアイデアを生み出すフレームワーク「SCAMPER法」とその使い方(BizDevキャリア)
新規事業にラテラルシンキングを取り入れるための習慣
ラテラルシンキングを日常的に活用するために、以下の習慣を取り入れましょう。
「Why?」を繰り返す
「なぜこの業界では○○が当たり前なのか?」を深掘りするクセをつける。
異業種のビジネスモデルを学ぶ
他業界の成功事例を研究し、自分の領域に応用できないか考える。
多様な人と議論する
異業種の人や若手と意見交換することで、新たな視点を得る。
まとめ
新規事業の成功には、ロジカルシンキングだけでなく、ラテラルシンキングが不可欠です。枠にとらわれない発想が、新たな市場を生み出す鍵となります。本記事では、ラテラルシンキングの基本概念、具体的な活用方法を紹介しました。BizDevとして事業開発を推進するなら、ぜひラテラルシンキングを実践し、新しい価値を生み出す力を身につけましょう。
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