

「データはあるのに活かせない」。DXを推進する企業の多くが直面する課題です。部門ごとに散在したデータ、つながらないシステム、属人的なアクセス経路──こうした状態では、意思決定や業務改善のスピードが上がりません。そこで注目されているのが「データファブリック」という考え方です。本記事では、データファブリックとは何か、その設計思想がDXにどう貢献するのかをわかりやすく解説します。
多くの企業がDXに取り組む中で、「データ活用が進まない」という悩みを抱えています。その主な要因は、データの分断にあります。
このような環境では、リアルタイムな意思決定は困難です。結果として、現場の“なんとなくの勘”や“経験則”に頼った判断が続き、データドリブンとは言い難い状況になります。そこで登場するのが、“分散されたデータ環境を前提に、仮想的に統合する”というアプローチ──それが「データファブリック」です。
データファブリック(Data Fabric)とは、企業内外に散在する多様なデータソースを、あたかも「ひとつの基盤」であるかのように見せる統合アーキテクチャです。ポイントは、物理的にデータを1カ所に集めるのではなく、分散されたまま横断的にアクセス・活用できること。
という思想がベースにあります。従来のDWH(データウェアハウス)やデータレイクと異なり、「集める」よりも「つなぐ」ことに重点を置く設計思想です。
データファブリックの導入によって、以下の3つの課題を解決できます。
IT部門だけでなく、現場部門もデータへ容易にアクセス可能に。仮想ビューを通じて、自部門が必要とするデータだけを抽出できる環境が整います。
複数部門のデータをつなげることで、「営業と顧客満足」「受注と在庫」など、部門横断での分析や意思決定が可能になります。
既存システムに大きな負荷をかけず、見え方だけを仮想的に統合。個別最適を尊重しつつ、全体最適を実現することができます。
なぜ今、「データファブリック」が注目されているのでしょうか?その理由は、“データを一元管理しきれない現実”が標準になったからです。
多くの企業は、クラウド/オンプレ/SaaS/外部パートナーとの連携など、複雑なデータ構成で業務を行っています。従来型のDWHのようにすべてのデータをETLで集約するには、時間もコストもかかり、変化への追従が難しくなります。対して、データファブリックは「つながり方を設計する」という思想を持ち、“バラバラなまま統合する”ことを可能にするアーキテクチャです。この柔軟でスピーディな考え方こそが、DX時代に求められる理由なのです。
データファブリックの本質は、単なる技術的統合基盤ではありません。それは、「データをどのように組織に流通させるか」という、戦略設計の問いでもあります。
こうした問いに対して、「誰に、どのデータを、どのように届けるか」をデザインすることが、データファブリックがDXにおいて果たす最大の役割といえるでしょう。
データファブリックとは、分散・サイロ化したデータ環境を仮想的につなぎ、必要な人に必要な形でデータを届ける統合アーキテクチャです。DXにおける「データ活用が進まない」という課題に対して、収集・蓄積型ではなく“接続・流通”の思想で応える仕組みであり、柔軟性とスピードが求められる現代において、極めて重要なアプローチなのではないでしょうか。
副業をお考えのみなさんへ
ご覧いただいている「月刊タレンタル」を運営するtalental(タレンタル)株式会社では、BizDev領域の即戦力人材レンタルサービス「talental」を提供しています。
現在、副業・フリーランス人材のみなさんのご登録(タレント登録)を受け付けています。タレント登録(無料)はこちらから。
これまで培ったスキルやノウハウを活かして、さまざまな企業のプロジェクトに参画してみませんか?