
多くの企業が取り組む「DX(デジタルトランスフォーメーション)」ですが、その実態は企業ごとに大きく異なります。そこで注目されているのが、経済産業省が2019年に策定した「DX推進指標」です。企業のDXの成熟度を“見える化”し、自社の現在地を把握するためのこの指標は、事業開発担当者にとっても有効な分析ツールとなります。
本記事では、DX推進指標の基本構造、企業の典型的な課題、そしてBizDevとしてどう活かすかまでを詳しく解説します。
DX推進指標とは?目的と全体像を整理する
DX推進指標は、2019年に経済産業省が発表したもので、企業が自社のDX状況を自己診断できるよう設計された評価フレームワークです。主な目的は、企業が「どこまでDXが進んでいるのか」「どこに課題があるのか」を把握し、具体的な変革アクションにつなげることにあります。
単なるIT導入ではなく、経営戦略・組織文化・デジタル人材・データ活用といった要素が複雑に絡むDXにおいて、指標による構造的な分析は不可欠です。経営者と現場の共通言語をつくるという点でも、極めて有効なツールと言えるでしょう。
DXの“現在地”を測る|7つの評価項目と成熟度レベル
DX推進指標は、大きく分けて以下の7つの評価項目で構成されています。
- ビジョン・戦略・ガバナンス
- 組織・人材
- IT資産の構造
- データ活用・基盤
- 技術活用
- パートナー連携
- 顧客との関係性
これらを5段階の成熟度レベル(レベル0〜4)で評価することで、企業は自社の“現在地”を可視化できます。レベル0は「未着手」、レベル1〜2は「個別最適」、レベル3以降が「全社戦略と一体化した変革フェーズ」に入るとされます。
特にレベル2から3の壁を越えられない企業が多く、いわゆる“なんちゃってDX”が生まれやすいのもこの層です。
多くの企業がつまずくポイント|DXが進まない本当の理由
多くの企業がDXに着手しながらも、思うように成果を上げられない理由には共通点があります。
理由1:経営と現場の認識のズレ
経営層がビジョンを掲げても、現場が腹落ちしていない、あるいはリソースが伴っていないケースが散見されます。
理由2:IT資産の老朽化・複雑化
レガシーシステムが業務に深く根付いており、デジタル刷新の足かせになっている企業は少なくありません。
理由3:人材不足とサイロ構造
社内にデジタル推進を担える人材がいない、あるいは部門間の連携が不十分で、全体設計が描けないケースが典型です。
これらの課題を特定し、構造的に解決策を導くには、定量的な現状把握と経営層のコミットメントが不可欠です。
DX推進指標を活用した改善アクションと事業開発の接続点
DX推進指標の価値は「測ること」ではなく、「改善につなげること」にあります。BizDevの観点からは、以下のようなアプローチが有効です。
事業開発起点での現状把握
新規事業やアライアンスを進める際に、社内のDX成熟度を把握しておくことで、連携先との役割分担やPoC設計にも影響を与えます。
IT部門との連携強化
DXの実行主体はIT部門であることが多いため、BizDevが橋渡し役となることで、より実行力のあるDXアクションが生まれます。
推進指標をフレームワークとして活用
提案書や戦略立案時に、指標をベースに説得力のある論点整理が可能になります。特に経営陣への報告資料としても有効です。
指標を活かせる組織、活かせない組織の違いとは?
DX推進指標は万能ではありません。重要なのは「指標をどう扱うか」です。活かせる組織には、以下のような特徴があります。
- 経営層が主体的に関与し、自己診断結果をオープンに議論する文化がある
- 改善アクションまで落とし込み、評価→実行→再評価のPDCAが回っている
- 数値化を目的にせず、「対話の起点」として指標を活用している
一方で、単に経産省の形式に従って記入しただけ、レポート化して終わりといった組織では、指標が形骸化しやすく、逆に“DX疲れ”を引き起こす要因にもなりかねません。
BizDevとしても、形式的に扱うのではなく「戦略の診断ツール」として位置づける視点が求められます。
まとめ
DX推進指標は、自社のDXの進捗度や課題を“見える化”する強力なツールです。単なる評価ではなく、戦略立案や組織改善への接続こそが真の価値です。BizDevとしても、指標を通じて部門横断的な対話を促進し、事業とテクノロジーの橋渡しを担うことが求められています。今後のDXは「動かす力」が問われるフェーズに入っています。
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