

企業が売上や利益を最大化する上で、単純な値下げや広告投資だけに頼るのではなく、商品・サービスの組み合わせによって顧客体験を高める「バンドル戦略」が改めて注目されています。特にD2CブランドやSaaSサービス、飲食業界では日常的に使われている手法ですが、その本質と活用法を正しく理解することで、ビジネス成果をさらに引き上げることが可能です。
バンドル戦略(Bundling Strategy)とは、複数の商品やサービスをセットにして販売するマーケティング手法です。
顧客にとっては「単品より安く買える」というメリットがあり、企業側としては、客単価を引き上げたり、売れ残り商品の処分、新商品の認知拡大など、様々な目的で活用できます。
これは、セット商品としてのみ提供され、単品販売はされない形式です。
例:
セットでも販売するが、各商品は単体でも購入可能で、セットのほうが割安になる構成です。
例:
バンドル戦略は単なる「お得セット」ではありません。以下のように、明確なビジネス目標に基づいて設計されます。
目的 | 解説 |
---|---|
客単価(ARPU)の向上 | 顧客が本来購入する予定のなかった商品も一緒に買わせることで、単価アップ。 |
クロスセルの促進 | 関連商品の利用を促し、LTV(顧客生涯価値)を高める。 |
在庫処分や消化 | 売れ残った商品を人気商品とセットで販売し、効率的に処理。 |
新商品の普及 | 主力商品と一緒に提供することで、新商品の利用を促進。 |
価格に対する抵抗感の低下 | セット割引で“価格のお得感”を演出し、高価格商品への心理的障壁を低減。 |
スキンケア用品、プロテイン、日用品など、定期的に使う商品のまとめ売りは、顧客の離脱を防ぎ、リピート率向上にもつながります。
SaaS企業では、単体機能を分けるよりも、チーム機能・アナリティクス機能などをまとめて提供する方が導入しやすく、単価を上げやすい設計になります。
原価管理と利益率の調整がしやすく、顧客満足度も高まりやすい構成です。選択肢を減らすことでオペレーション効率も向上。
もちろん、バンドル戦略にも注意すべき点があります。
そのため、顧客セグメントごとのニーズ分析と価値設計がカギを握ります。
iPhoneを買った人にAppleCareやAirPodsを同時に提案。クロスセル効果で顧客体験の向上と売上増を両立。
PhotoshopやIllustratorを個別に売らず、Creative Cloudという月額サブスクで一括提供。ユーザーが複数ツールを自然に試す設計に。
「一緒に購入されている商品」機能は、アルゴリズムによって効果的なミックスバンドルを構成。購入率の向上に貢献。
顧客ニーズに合った組み合わせで価値を感じさせることが必須。
単品価格との差を「お得」と思わせる絶妙なバランスを取る。
購入直前のタイミングや、サブスクの導入時など、行動を後押しするタイミングが重要。
バンドル戦略は、単なるセット割ではなく、「顧客の購買意思決定を後押しするデザイン手法」として機能します。単価を引き上げるだけでなく、LTVの向上や顧客満足の改善、さらにはブランドへの信頼感醸成にもつながる、非常に汎用性の高いマーケティング施策です。
ぜひ自社のプロダクトやサービスにも応用し、売上向上の一手として検討してみてはいかがでしょうか。
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