

プロダクトを立ち上げる際、アーキテクチャの選定は開発効率や将来的な拡張性に直結する重要な意思決定です。特に「モノシリック vs マイクロサービス」の選択は、多くのスタートアップや開発チームが悩むポイント。本記事では、モノシリックアーキテクチャの特徴と活かし方に焦点を当てながら、どのようなフェーズ・チームに向いているのか、どのように設計・運用すべきかを非エンジニアにもわかりやすく解説します。
モノシリック(Monolithic)アーキテクチャとは、アプリケーションのすべての機能(UI、ビジネスロジック、データアクセスなど)がひとつの統合された構造の中に実装されている設計方式です。Webアプリケーションで言えば、ユーザー管理・決済・通知機能などをすべて一体で構築するイメージです。
これに対して近年注目されているのが「マイクロサービスアーキテクチャ」で、こちらは機能単位でシステムを分割し、それぞれが独立して動作・運用される形です。
つまりモノシリックとは、「オールインワンで作る」構造であり、初期開発ではこの構造が圧倒的なシンプルさとスピードを提供してくれます。
モノシリックは時に「古い」「スケーラビリティがない」と敬遠されがちですが、それは誤解です。初期のスピードと一貫性という観点では、むしろ多くのスタートアップにとって理想的な選択肢となり得ます。
主なメリットは以下の通りです。
特にリソースが限られているスタートアップにとっては、モノシリックの一体感とコスト効率の高さは大きな武器になります。
モノシリックはすべてのプロジェクトに向いているわけではありませんが、以下のような条件がそろっている場合には極めて有効です。
また、VCからの資金調達前やPMF(プロダクトマーケットフィット)前のフェーズでは、「まず動くものを作る」ことが最優先であり、そこに時間をかけすぎないためにもモノシリックは理にかなっています。
モノシリックには明確な利点がありますが、間違った認識や使い方をすると後々の開発で大きな負債になります。典型的な失敗パターンは以下の通りです。
これらは、「モノシリック=何も分けない」ではなく、“一体型の中でも設計は分ける”意識が必要であることを示しています。また、モノシリックで開発を進めた後、スケール段階でマイクロサービスへの移行が困難になるケースもあるため、「移行前提の構造」を初期から意識しておくと失敗を防げます。
モノシリックアーキテクチャを最大限に活かすには、将来的な変更や拡張を見越した構造化の工夫が不可欠です。以下はそのための実践ポイントです。
このように、“モノシリックだけどマイクロマインド”という設計思想が、長く活きるプロダクト基盤を作ります。
モノシリックアーキテクチャは、初期フェーズにおけるスピードと安定性を兼ね備えた強力な選択肢です。ただし、“分けない”のではなく“意図的にまとめる”設計と運用の意識がなければ、のちに負債化するリスクもあります。フェーズ・チーム・戦略に合わせた構造選定と、将来的な変化を見越した設計で、モノシリックの恩恵を最大化しましょう。
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