マーケティング

売上の8割を見極める!デシル分析で顧客を深く理解する方法

事業開発やマーケティングの現場で「売上の8割は上位2割の顧客が生み出している」とよく言われます。この事実を視覚化し、戦略的に活用できるのが「デシル分析」です。顧客を売上貢献度で10等分して分析するこの手法は、優良顧客を特定し、LTV最大化やリソース配分における意思決定を加速させます。この記事では、デシル分析の基礎から具体的な活用法、他の顧客分析との違いや注意点、実務への落とし込み方までを詳しく解説します。

デシル分析とは何か?基本の考え方を押さえる

デシル分析とは、顧客を売上の高い順に並べて10等分し、それぞれのグループ(デシル)ごとの売上構成比や行動傾向を把握する分析手法です。上位10%を「第1デシル」、次の10%を「第2デシル」といった具合に分類します。これにより、どの顧客層が売上にどれほど寄与しているかが可視化され、特に「第1〜第2デシル」にあたる上位顧客の重要性を定量的に捉えることができます。パレートの法則(80:20の法則)を裏付けるデータ分析として、非常に有効です。

デシル分析の意義

事業開発の現場において、全顧客に同じアプローチを取るのは非効率です。限られたリソースを効果的に配分するには、デシル分析を通じて「投資すべき顧客」を見極めることが重要です。

たとえば、上位デシル顧客には個別フォローや専用施策を展開し、LTV(顧客生涯価値)の最大化を狙います。一方、下位デシルには自動化された対応や集約施策を検討することで、全体最適の運用が可能になります。分析結果に基づいた戦略的アプローチは、売上拡大とコスト最適化の両面に貢献します。

実践!デシル分析の手順と必要なデータ

デシル分析を行うには、まず対象となる期間を決め、顧客単位での売上データを取得します。そして、売上の高い順に顧客を並べて10等分し、それぞれのデシルグループの売上構成比を計算します。

たとえば、1,000人の顧客がいれば、上位100人が第1デシル、次の100人が第2デシルとなります。ExcelやBIツールで簡単に実施できますが、集計軸(回数・金額・商品別)によって得られる示唆は異なります。分析結果はグラフで可視化すると、より直感的に把握できるでしょう。

デシル分析のデメリットと限界を理解する

デシル分析は導入が容易で視覚的にも分かりやすい一方、いくつかの注意点や限界があります。実務で過信しすぎないよう、以下のようなデメリットを理解しておくことが重要です。

「金額」だけに依存してしまうリスク

一度だけ高額購入した顧客が上位に分類され、長期的なリピート顧客が埋もれてしまう可能性があります。

一時的なノイズに影響を受けやすい

キャンペーンや突発的な取引が分析結果を歪めるリスクがあるため、期間や指標の設計に工夫が必要です。

顧客の背景や心理が見えにくい

デシル分析は数値に偏るため、「なぜ買ったのか」といった動機までは分析できません。

10等分という枠の硬直性

ビジネスモデルによっては、10分割が適切でない場合もあり、柔軟に調整する視点が求められます。

デシル分析はあくまで出発点です。他の分析手法や定性調査と組み合わせることで、より実用的な顧客理解が可能になります。

他の顧客分析との違いとは?用途ごとの使い分け

デシル分析はシンプルで視覚的に優れた手法ですが、他にもさまざまな顧客分析手法があります。それぞれの目的と強みを理解し、適切に使い分けることが、効果的な顧客戦略につながります。

RFM分析:顧客の「行動」に着目した分析

RFM分析は「Recency(直近の購入時期)」「Frequency(購入頻度)」「Monetary(購入金額)」の3つの指標で顧客をスコアリングし、セグメント分けする手法です。デシル分析が“売上の大きさ”を基準にしているのに対し、RFM分析では顧客の継続性やエンゲージメント度を把握できます。CRM施策やリテンションマーケティングに強みを発揮します。

ABC分析:在庫管理や商品分析に活きる

ABC分析は、売上や利益などの累積貢献度を基に、項目(商品・顧客など)をA(重要)・B(中間)・C(その他)に分類する手法です。デシル分析と似たアプローチですが、ABC分析では累積構成比率に着目して分類されるのが特徴です。意思決定をシンプルにしやすく、在庫管理・商品戦略・業務効率化にも役立ちます。

CTB分析:市場の捉え方を軸にしたセグメンテーション

CTB分析は、「Category(商品カテゴリ)」「Taste(顧客の嗜好)」「Brand(ブランドへのこだわり)」の3要素で顧客を分類するマーケティング手法です。これはどちらかというと顧客ニーズや心理的要素を捉えるセグメント分析であり、デシル分析やRFM分析のように数値ベースでセグメントするものとは異なります。新商品開発やブランド戦略の設計に活用されるケースが多いです。

活用シーン別:デシル分析の応用アイデア

デシル分析は一度きりの作業ではなく、マーケティングや営業、プロダクト改善など多くの場面で活用できます。

たとえば、上位デシルの購買傾向から「理想的な顧客像(ICP)」を抽出し、広告や営業リストに活かすことができます。また、下位デシルに共通する行動から、離脱や休眠の兆候を読み取り、離脱防止施策に繋げることも可能です。SaaSやD2C、リカーリングビジネスでは、定期的に分析を行うことで事業の状態をモニタリングできます。

まとめ

デシル分析は、顧客を売上貢献度で分類し、優良顧客の可視化や戦略的なアプローチを可能にする強力な分析手法です。RFM・ABC・CTBといった他の手法との違いを理解しながら使い分けることで、より効果的な顧客理解が可能になります。シンプルながらも奥深いこの分析手法を、ぜひ実務に取り入れてみてください。

BizDevとしてのスキルやノウハウを活かして働きたいみなさんへ

ご覧いただいている「BizDevキャリア」を運営するtalental(タレンタル)株式会社では、BizDev領域の即戦力人材レンタルサービス「talental」を提供しています。現在、副業・フリーランス人材のみなさんのご登録(タレント登録)を受け付けています。無料タレント登録はこちらから。これまで培ったスキルやノウハウを活かして、さまざまな企業のプロジェクトに参画してみませんか?

アンコンシャス・バイアスチェックリスト〜組織に潜む“見えない偏見”を可視化する〜前のページ

関連記事

  1. contents-seo
  2. what
  3. マーケティング

    エンゲージメントエコノミーとは?企業成長を加速する新戦略

    エンゲージメントエコノミーとは、企業が顧客と…

  4. マーケティング

    カスタマーセントリック(顧客中心主義)が必要な5つの理由

    現代のビジネス環境では、顧客のニーズや期待に…

  5. marketing

インタビュー

人気の記事

  1. workplace-image
  2. mikura_001
  3. abduction-image
  4. prompt-share-image
  5. solopreneur
  6. question

最近の記事

カテゴリー

PAGE TOP