日本リスキリングコンソーシアムが発表した「AI人材育成白書」の要点

AI技術の急速な進歩に伴い、AIを活用できる人材の需要が高まっています。しかし、日本企業におけるAI導入率は世界平均を下回っており、AI人材の育成が急務となっています。このような背景の中、日本リスキリングコンソーシアムは「AI人材育成白書」を発行し、AI人材育成の現状と企業・組織への提言をまとめました。本記事では、白書の主要なポイントを解説し、BizDev（事業開発）に携わる方々がAI人材育成を推進するための指針を提供します。

参考：AI人材育成白書（日本リスキリングコンソーシアム）

AI人材育成の現状と課題

白書では、技術者や開発スキルを持つスペシャリストだけでなく、生成AIを活用して業務で具体的な成果を上げられる人材を「AI人材」と定義しています。世界の生成AI市場は2022年の約90億ドルから、2027年には1,200億ドルに達すると予測されており、AI人材の需要は今後ますます高まると考えられます。

しかし、日本企業のAI導入率は他国と比較して低く、世界18か国中16位となっています。18か国の平均導入率が40％であるのに対し、日本は24％にとどまっています。

AI人材育成に不可欠な3要素

白書では、AI人材育成には以下の3つの要素が不可欠であると提言しています。

1. 個人の意欲：調査によると、AI学習のきっかけとして76.9％の人が「AIへの興味」を挙げています。
2. 企業・組織の環境整備（ハード面）：AIを利用できる環境を提供している企業・組織は約30％にとどまっており、個人の意欲と企業のサポート体制にギャップが存在します。
3. 成果につなげる仕組み（ソフト面）：学習コストの負担や学習時間の確保など、継続的な学習を支援する制度や、AIスキルの習得・活用による評価やキャリアアップの仕組みが求められています。

企業・組織への具体的な提言

1. 経営層のコミットメント

経営層がAI導入の目的や意義といったビジョンを明確に示すことで、組織全体のAI活用への理解とモチベーションが向上します。

2. 環境整備と制度構築

AIを組み込んだツールやシステムの導入、学習コストの負担、学習時間の確保など、AIスキルを実務に結びつける環境や制度の整備が必要です。

3. キャリアアップの明確化

AIスキルの習得がキャリアアップにつながる明確なパスを提示することで、学習者のモチベーションを高めることができます。

具体的な取り組み事例

日本リスキリングコンソーシアムでは、生成AIの基礎と具体的な活用方法を学べるオンライン講座「AI Essentials」を無料で提供しています。この講座は、AI初心者でも10時間以内で修了可能で、修了時にはGoogleからの認定証が発行されます。

まとめ

AI人材の育成は、個人の意欲と企業・組織の環境整備、そして成果につなげる仕組みの3要素が連携することで実現します。経営層の明確なビジョンとコミットメントの下、AI活用の環境整備や学習支援制度の構築、キャリアアップの道筋を提示することが、AI人材育成の鍵となります。BizDevに携わる皆様は、これらのポイントを踏まえ、自社のAI人材育成戦略を検討してみてはいかがでしょうか。