

現場での実践知を組織全体に広げ、個人の学習をチームの成果に転換する──。今、多くの企業がこの実現手段として注目しているのが「ピア・ラーニング」です。社員同士が日常業務の中で学び合うこの仕組みは、研修の代替ではなく、組織における“成長の文化”を根づかせる鍵となります。本記事では、ピア・ラーニングの基礎から導入のポイント、具体的な事例、戦略的な活用法まで、実践に役立つ視点を網羅的に紹介します。
まずはピア・ラーニングの定義と、なぜいまこの学習手法が企業で重視されているのかを整理します。
ピア・ラーニング(Peer Learning)とは、年齢や役職、専門性を超えて「同僚同士で学び合う」ことを指します。特定の講師を置かず、対等な関係性の中で知識や経験、失敗談、工夫を共有することで、組織の知を循環させる手法です。
この学習手法は教育分野では1970年代から研究されてきましたが、近年は企業の人材開発や組織変革の領域でも活用が進んでいます。背景としては以下の通りです。
つまりピア・ラーニングは、教育手段であると同時に、社内に学び合いのカルチャーをつくる装置でもあるのです。
続いて、ピア・ラーニングが求められる理由と、学習効果の観点からの意義を掘り下げます。
企業がピア・ラーニングを取り入れる最大の理由は、「学びの起点を組織の内側に持つ」ためです。外部研修やeラーニングだけでは、実務に直結する知識や実感を得ることは難しく、形式的な学習にとどまりがちです。
また、教えることは自己理解を深め、学習定着率を高めることが心理学的にも示されています。VUCA時代に必要な「仮説→実行→検証→共有」のループを回すうえで、ピア・ラーニングは極めて実践的な学習プロセスといえるでしょう。
ここからは、ピア・ラーニングを組織に導入し、継続的な習慣として根づかせるためのポイントを紹介します。
実際にピア・ラーニングを取り入れ、成果を上げた企業の事例から学んでみましょう。
あるITスタートアップ では、週1回のランチ形式での5分間プレゼンとSlackでの記録共有により、提案成功率が半年で25%向上しました。
異部門間で知見を交換するようになり、その中で横展開された改善案が前年比2.2倍の実績になりました。
ピア・ラーニングを単発で終わらせず、組織文化として定着させるためには、次のような点に注意しておきましょう。
ピア・ラーニングは、組織内の学習を自律的・継続的に進める強力な仕組みです。教える側も学ぶ側も互いに成長し、実務とつながったナレッジが組織全体に循環します。導入にあたっては、小さく始めて習慣化を図り、称賛と評価の仕組みをセットで設計することが成功のカギ。個人の成長が連鎖し、組織文化にまで昇華される──それがピア・ラーニングの本質です。
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